54/95
第53話 【日誌】■■の記録
非常にまずい事態になっている。王都から来た歴史家ルキアと調査員ミレットが連携できずにいる。このままでは、ギルド長のギルベルトの暴走を止めることはできない。この仮面を外し、表舞台に立てば話は早いかもしれない。しかし、それができない理由がある。2人には協力してもらわねば。どうやって仕向けるか名案を思い付くまで無駄な行動は控えるべきだろう。■■として、ギルベルトの前に立ち、告発できる日は来るのだろうか。いや、弱音を吐いてはならない。明日には明日の風が吹く。そう信じて。
【研究員のメモ】
私もまた、仮面を被っているのかもしれない。「学者」という名の、分厚い仮面を。
記録の中の「仮面の人物」は、一体誰なんだ。ミレットでもルキアでもない、もう一人の観測者。
【研究員のメモ:追記】
学生が私の顔に、べっとりと青い粘土を塗りつけてきた。
「先生、これで仮面の完成ですね。ギルベルト様に顔を見られなくて済みますよ」
私の素顔は、もう粘土の下で溶けてなくなっている。




