第1話 【遺品】マジックレコーダーの復元記録
【物件番号:1042】音録石の復元記録
回収場所: ランクEダンジョン「安らぎの洞窟」地下1階、通称『安全地帯』の岩陰
回収日: 王暦125年 10月14日
一部に激しいノイズ、および精神的苦痛を伴う音声が含まれるが、当時の状況を正確に伝えるため、原文のまま掲載する。
(00:12~ 映像開始)
カイル(剣士):
「おい、これ映ってるか? これ、高いんだから壊すなよ。よし、バッチリだ。――はい、みなさんこんにちは! 『夜明けの翼』の初陣記録、第4日目だ!」
ルナ(魔導師):
「もう、カイル。声が大きすぎるわよ。でも、本当に信じられない。スライムやゴブリンしか出ないダンジョンなのに、ギルドが規制まで敷いてるなんて。よっぽどお宝が眠ってるのかしらね」
カイル:
「そうに違いない。いや、そうでしょ! 普通のダンジョンじゃないよな。お、村長がこっちに手振ってるぞ。『清めの儀式』の準備、できたんじゃね?」
ルナ:
「儀式を受ければダンジョンに入れるのに、なんで他の冒険者は来ないのかしら? まあ、私の考えることじゃないか」
カイル:
「何をブツブツ言ってるんだ? ほら、行くぞ!」
(05:45~ 音声に激しいノイズが混じり始める)
「なぁ、ルナ。さっき飲まされた『清めの塩』、変な味がしなかったか? なんだか、胃のあたりが、ずっと……ブニュブニュ、動いてるような……」
(07:12~ 以降、不明瞭な咀嚼音と、遠くで流れる楽しげな祭囃子のみが30分間記録されている)
【研究員のメモ】
隣の学生は怯えて地面に弁当を落とした。もったいない。異文化の衝突の時は、何かしら起こるものだ。民俗学を専攻しているのなら、これくらいで驚かないでくれ。しかし、この祭囃子はどこかで聞き覚えがあるような……。思い違いだろうか。




