第16話 【個人手記】調査員ミレットの記録7
嘘だと信じたいけど……。ワットさんが消えた。あんなに優秀な人が、何もヒントを残さず消されたとは思えない。どこかに、きっと――いいえ、必ずヒントがある。ギルド長も酷く混乱した様子だった。普段は冷静なのに。眉間にしわを寄せて「計算が狂った……」ってつぶやいてた。村長に渡すはずだった音録石も壊れたし、私も何が何だか分からない。でも、現場を見て確信した。窓から外へ向かって足跡が伸びていた。明らかにワットさんの足跡より大きかった。あれが犯人のものなら、靴屋のヘイゴンさんに聞けば情報が分かるかも。
それよりも、ギルド長が直接、1対1で聴取を行うなんて……。普通、ワットさんの代理を立てるはず。あえて、代理を使わなかった? それとも、緊急事態で間に合わなかった? 確かに、この村は人手不足だけど、お金には困っていない。言い方は悪いけど、お金があれば人を雇えるはず。謎は増すばかり。
■明日、やることの候補
1,靴屋のヘイゴンさんに話を聞く
2,もう一度ワットさんの部屋を捜査する
3,ロゼーヌさんに、お父さんが亡くなった時の詳細を聞く
少し無理して音録石を買ったから、2回は会話と風景を撮れる。ヘイゴンさんとロゼーヌさんとの会話に使おう。
※追記:今朝も新米冒険者が2組、行方不明になった。きっと……。いや、断定するのは早いわ。ダンジョン最奥を目指しているに違いないわ。
【研究員のメモ】
院生が「先生、この機器狂った数字しか示しません!」と、騒いでいる。しかし、装置はきちんと周りの微弱な音波を拾っている。しかし、一瞬、何も映らなかったような……。まあ、見間違いだろう。どうやら、疲れたらしい。
【研究員のメモ:追記】
やはり、寝たら治った。あとは、ビタミン剤とエナジードリンクを飲めば完璧だ。研究は頭脳がフル回転してこそ、結果が伴うものだ。院生にも飲ませるか。




