2話 ホノアヘようこそ [前編] "ターゲット交代"
※(ジュントム視点)
僕は自分で作った朝ごはんであるチーズトーストを食べた後、学校に行くまで時間がまだあったため、スマホを見ながら待つ事にした。
スマホのメールボックスには二十件以上の通知が届いていた。メールの連絡先にはS組の生徒達の連絡先が並んでいた。昨日、体育の授業の後ホームルーム終わりにS組のクラスメイト達が僕に話しかけてくれた。そこで何人か連絡先を交換したのだ。
サフィアさんとアンリさんとでグループメールも作ってもらい、さまざまな世間話をした。
ドッジボールの時の約束で、ヤンキー系の男の子とも連絡先を交換した。名前は、ライアン・ヒビットと教えてくれた。本当にかっこいい名前だ。
ライアンさんはサッカー部に所属しており、僕にサッカー部に入らないか尋ねてきたが、僕はまだどこの部活に入るか決めていなかったため、「考えときます」とだけ送った。
そして僕が、昨日印象に残っていた金髪の女の子が、メールを交換したいと言い、ライアンさんを通して交換した。たぶんこの子のメールが一番多く来たと思う。
実際今ある未読の通知は全てその子からのものだ。
登校二日目、今日は、どんなことが起こるんだろう。そう思いながら登校する時間になり、そのまま家を出て自転車に乗って学校へ向かった。
S組の 教室に着き、ドアを開けた瞬間、みんな僕に挨拶をしてきた。
みんな真面目でいい子だなと思い、僕も合わせて挨拶を返した。
よく見てみると一部の子はスマホを見ていて、それぞれ何かをしていた。
学校でスマホを使っていいのか僕には分からないが、皆隠しながらスマホを触っていなかったため僕は持ってきたスマホの電源をオンにした。
やっぱり教室は、昨日と同じく騒がしかった。
僕が教室に着いてから10分経ち、サフィアさんがニヤニヤしながら高揚な様子で教室に入って来た。僕はサフィアさんに挨拶をし、何があったのか質問した。
「ジュントム、ちょっと聞いてくれよ。今日、お茶持ってくるの忘れたから自動販売機で買ったんだ。そしたら、自動販売機のスロットで数字がそろって、なんと二本も買えたんだ。まじでラッキー!」
「そうだったんですか。それは良かったですね!」
「そうだろ、そうだろ。今日は、いい日になりそうだ!イェーイ!!」
サフィアさんは、嬉しそうな声で言った。
本当に嬉しそうだ。顔が幸せに満ち溢れていて、体も今にも飛び跳ねそうだ。サフィアさんってやっぱり面白い人なんだなと僕は思った。
「面白いでしょ?サフィ、感情が表に出やすいのよ。」
「そうなんですね。」
ん?今話した人誰?僕、勝手に答えちゃったけど。
そう僕が思ったその時、後ろからツンツンと優しく背中をつつかれた。
後ろを振り返ると、白くて長い髪の女の子が僕の方を見て座っていた。
そして、その女の子は、
「突然ごめんなさい。まだ、一回も私と話してなかったね。私は、ノエル・アシュタニカ。サフィとはこのジェントリ学園に入学してからの親友だよ。」
と話した。
「サフィアさんとずっと一緒のクラスだったんですか?」
「うん。サフィの秘密ならなんでも知ってるよ。例えば一年前の文化祭でサフィが……」
ノエルさんが、話そうとしたその時、突然、サフィアさんが割込み、
「ぎゃー!!やめろ!やめろ!それ以上言うな。俺の黒歴史の一つなんだぞ!」
と言った。
一年前の文化祭、一体何があったんだろうと僕は、不思議に思った。
「ごめんごめん。言わないよ誰にも。そんなに怒らないで。」
ノエルさんがそう言いながらサフィアさんを馬を落ち着かせるみたいにドォドォと言いながら謝った。
ますます気になってしまった。でも、サフィアさんの様子を見る限り、相当恥ずかしいことがあったのだろう。だから僕は、そのことには触れないことにした。
ノエルさんがさっきから言っているサフィというのは、サフィアさんの愛称なのだろう。
なんだか結構可愛いなと思い、僕は少し笑った。
ノエルさんは、とても話しやすいからこれから仲良くなれそうだ。
僕は、ふと廊下側の一番後ろの列を見た。
そこには、鼻に包帯を巻いていて、友達と仲良く話している子がいた。
その子は、ドッジボールの時にいじめを受けていた子だ。その子は、昨日と比べものにならないぐらいとても笑顔だった。
「サフィアさん、昨日のドッジボールでいじめられていた子、昨日と全然様子が違いますが、いじめが無くなったんですか?」
「あぁ無くなったらしい。多分次のターゲットが見つかったんだろう。」
サフィアさんはさっきまでのテンションとは違い、落ち着いた様子でそう言った。
「ターゲットってなんですか?」
僕がそう訊くとサフィアさんは、驚いた顔をして言った。
「お前、まだ学校の校則知らないのか?もしかして、セリーナとメール交換していないな?」
「セリーナ……金髪の背の高い女の子ですか?……はい。ライアンさんのメールを通してメールを交換しました。」
「セリーナとメールを交換したら、沢山学校に関してのメールが来る。その中に校則についてのことが書かれているファイルがあるはずだ。読まなかったのか?」
サフィアさんはため息をつきながらそう言った。
「まだ読んでいません。」
僕は、正直に言った。
実は、セリーナさんからのメールが、大量に来て鬱陶しくなったのだ。メールの内容も自分の事ばかりで正直飽きた。だから、読むのもめんどくさくなって夜になってから今までセリーナさんからのメールを見ていなかった。
サフィアさんは、慌てた様子で
「お前、今スマホ持ってるなら今すぐに読め!そうしないと、もしお前に何かあったら俺は、どうすることもできないぞ。」
と言った。
サフィアさんの顔を見て、何か重要な内容かもしれないと思い、すぐにスマホを見ようとした。
すると突然、スマホの着信音が一斉に教室中に鳴り響いた。クラスメイトは、一斉にスマホを見始めた。
何かあったのだろうと思い僕とサフィアさんは、スマホを見た。[学校共有メール]という所からメールが届いていた。
僕は、そのグループにもともと入っていない。誰かが僕を勝手に招待して入れたのだろう。僕は、恐る恐るメールを開いてみた。
すると、とんでもないことが書かれていた。
『S組のマノン・ニコルは、校則を破った。よって、そいつを今日からターゲットとする。
ちなみに、ターゲットは、とても貧乏で、育ちが悪いらしい。だから、万引きをサラッとしたことがある。空気を読めないバカだ。』
僕は、これを読んで動揺した。
すると、横からサフィアさんが、小声で
「呑まれるなジュントム!これはデタラメだ。」
と言った。
だよね、あの勇敢なマノンさんが、そんなことするはずがない。僕はそう信じた。
だが、教室のあちこちからマノンさんに対しての悪口が聞こえた。
ある男の子は、ドアの隙間に黒板消しを挟み、そして何人かは、マノンさんが教室に入ってくるのを待っていた。
3分後、マノンさんが教室に着き、ドアを開けた瞬間、挟まれていた黒板消しが降ってきて、マノンさんの頭の上に落ちた。マノンさんの頭は、チョークの粉まみれになっていた。
そして、それを見た男の子達が全員、大声で笑い始めた。
マノンさんは、黙って下を向いていた。昨日までの勇敢なマノンさんとはまるで別人のようだった。マノンさんは、自分の席へ行きかけた。
その時、
「マノン!ちょっと来て!」
と大声で叫ぶ声が聞こえた。セリーナさんだ。セリーナさんは、わざと自分の机からペンを落とした。見た目からして高級なペンだった。
マノンさんは、セリーナさんの居るグループの方へ向かった。
「それ、拾って。」
セリーナさんが言った。
マノンさんは、セリーナさんのペンを拾ってセリーナさんの机の上に置いた。
そしたら、セリーナさんが、
「誰が、素手で拾えと言ったの?」
と言ったのだ。
いや普通、拾うって言ったら手で拾うものでしょとセリーナさんにツッコミたくなったが、さっきの発言は酷いと僕は思った。
マノンさんは声を震わせながら
「誰も言ってません。ごめんなさい。」
と言った。
するとセリーナさんは、周りにいたクラスメイトに
「今の聞いた?」と質問した。
ほとんどのクラスメイトが、「聞こえてなーい。」と一斉に答えた。
「誰も言っていませんでした!!すみません!」
マノンさんは、もう一度大きな声で言った。
するとセリーナさんは、
「だよね。誰も言ってないよね。これだからバカは。ちゃんと頭働かせないとダメでしょ?」
と言った。
僕は、もう気持ちの限界だった。黙って見てられない。そう思い、僕はその場に乗り込もうとした。
すると、誰かにガッと手を掴まれて、引き戻された。後ろを振り返るとそこには、サフィアさんがいた。
僕は、小声でサフィアさんに言った。
「何するんですか?離してください!このままだとマノンさんが…。」
だが、サフィアさんは、僕の手を離さなかった。
「もちろん分かっている。だが、相手が悪すぎる。今は、耐えろ。」
サフィアさんは下を向いた状態で小声でそう言った。
僕は、分からなかった。耐えられるはずがない。
もし、このまま放置したらマノンさんがどうなるのか分からない。これは立派な集団いじめだ。
「今、誰かが止めないとダメです。ここで傍観者ぶっていても何も変わりません。僕は、罪もない人が酷い目に遭い、悲しんでいる姿を見ることが、嫌いなんです。お願いします。手を離してください。」
と小声でお願いした。
それでも、サフィアさんは、僕の手を離してくれなかった。
そして、僕の耳元でこう囁いた。
「俺もお前と同じだ。俺もあっちに行ってぶん殴りたい。だけど、ダメなんだよ。あいつに逆らうと逆らった奴は、大変な目に遭う。俺は、何回も見てきた。だから、お前にそうなってほしくないんだ。お前以外にもお前と同じように思っている奴は、他にもいる。」
僕は周りを見た。すると、下を向いて黙り込んでいる人が沢山いた。確かに僕と同じことを思っている人がいるようだ。アンリさんやノエルさんもそうだった。
すると、サフィアさんは、僕の服の裾を引っ張り顔を上げた。サフィアさんは、泣きそうな顔で小声で言った。
「堪えてくれジュントム。お願いだ。」
それを聴いて僕は、少し心に靄があったが、サフィアさんの言うことを信じてみようと思った。
まだ、嘲笑い声や悪口が、教室中に響いていた。
「あーあ、汚い。菌がついちゃったじゃない。もうこれいらないわ。」
セリーナさんがそう言いながら、ペンを床に落し、
「拾うんだったら拾えば?あなた見たいな貧乏人が買えないでしょ?」
と言った。
マノンさんは、拾うのを躊躇していたが、みんなの視線が怖かったのかそのペンをサッと拾い、自分の席に座った。
みんなは、その姿を見てクスクス笑っていた。
そこにフランク先生が、来て
「お前ら席につけ‼︎」
と言った。
みんなは、急いで席に着いた。みんなが座った時には、何もなかったかのようになっていた。
すると、サフィアさんが、耳元で
「今日放課後、俺達のグループで会議をする。その時にこの学校の秘密を全て教えてやる。」
と言った。
僕は、大きく頷いた。秘密って一体なんだろう?そう思いながら僕は教科書を開いた。
全ての授業が終わり、みんなが教室から出た後、サフィアさんが、
「さあジュントム、行くぞ!秘密基地へ!」
と言って廊下を指さした。
やっぱり面白い人だ。
「秘密基地って一体どこにあるんですか?」
と僕が訊くとよくぞ訊いてくれたというような顔をして、僕の腕を掴んで
「それは、行ってからのお楽しみだ。行くぞ!転けるなよ!」
と2話 ホノアヘようこそ [前編] "ターゲット交代"
※(ジュントム視点)
僕は自分で作った朝ごはんであるチーズトーストを食べた後、学校に行くまで時間がまだあったため、スマホを見ながら待つ事にした。
スマホのメールボックスには二十件以上の通知が届いていた。メールの連絡先にはS組の生徒達の連絡先が並んでいた。昨日、体育の授業の後ホームルーム終わりにS組のクラスメイト達が僕に話しかけてくれた。そこで何人か連絡先を交換したのだ。
サフィアさんとアンリさんとでグループメールも作ってもらい、さまざまな世間話をした。
ドッジボールの時の約束で、ヤンキー系の男の子とも連絡先を交換した。名前は、ライアン・ヒビットと教えてくれた。本当にかっこいい名前だ。
ライアンさんはサッカー部に所属しており、僕にサッカー部に入らないか尋ねてきたが、僕はまだどこの部活に入るか決めていなかったため、「考えときます」とだけ送った。
そして僕が、昨日印象に残っていた金髪の女の子が、メールを交換したいと言い、ライアンさんを通して交換した。たぶんこの子のメールが一番多く来たと思う。
実際今ある未読の通知は全てその子からのものだ。
登校二日目、今日は、どんなことが起こるんだろう。そう思いながら投稿する時間になり、そのまま家を出て自転車に乗って学校へ向かった。
S組の 教室に着き、ドアを開けた瞬間、みんな僕に挨拶をしてきた。
みんな真面目でいい子だなと思い、僕も合わせて挨拶を返した。
よく見てみると一部の子はスマホを見ていて、それぞれ何かをしてしていた。
学校でスマホを使っていいのか僕には分からないが、皆隠しながらスマホを触っていなかったため僕は持ってきたスマホの電源をオンにした。
やっぱり教室は、昨日と同じく騒がしかった。
僕が教室に着いてから10分経ち、サフィアさんがニヤニヤしながら高揚な様子で教室に入って来た。僕はサフィアさんに挨拶をし、何があったのか質問した。
「ジュントム、ちょっと聞いてくれよ。今日、お茶持ってくるの忘れたから自動販売機で買ったんだ。そしたら、自動販売機のスロットで数字がそろって、なんと二本も買えたんだ。まじでラッキー!」
「そうだったんですか。それは良かったですね!」
「そうだろ、そうだろ。今日は、いい日になりそうだ!イェーイ!!」
サフィアさんは、嬉しそうな声で言った。
本当に嬉しそうだ。顔が幸せに満ち溢れていて、体も今でも飛び跳ねそうだ。サフィアさんってやっぱり面白い人なんだなと僕は思った。
「面白いでしょ?サフィ、感情が表に出やすいのよ。」
「そうなんですね。」
ん?今話した人誰?僕、勝手に答えちゃったけど。
そう僕が思ったその時、後ろからツンツンと優しく背中をつつかれた。
後ろを振り返ると、白くて長い髪の女の子が僕の方を見て座っていた。
そして、その女の子は、
「突然ごめんなさい。まだ、一回も私と話してなかったね。私は、ノエル・アシュタニカ。サフィとはこのジェントリ学園に入学してからの親友だよ。」
と話した。
「サフィアさんとずっと一緒のクラスだったんですか?」
「うん。サフィの秘密ならなんでも知ってるよ。例えば一年前の文化祭でサフィが……」
ノエルさんが、話そうとしたその時、突然、サフィアさんが割込み、
「ぎゃー!!やめろ!やめろ!それ以上言うな。俺の黒歴史の一つなんだぞ!」
と言った。
一年前の文化祭、一体何があったんだろうと僕は、不思議に思った。
「ごめんごめん。言わなよ誰にも。そんなに怒らないで。」
ノエルさんがそう言いながらサフィアさんを馬を落ち着かせるみたいにドォドォと言いながら謝った。
ますます気になってしまった。でも、サフィアさんの様子を見る限り相当恥ずかしいことがあったのだろう。だから僕は、そのことには触れないことにした。
ノエルさんがさっきから言っているサフィというのは、サフィアさんの愛称なのだろう。
なんか結構可愛いなと思い、僕は少し笑った。
ノエルさんは、とても話しやすいからこれから仲良くなれそうだ。
僕は、ふと廊下側の一番後ろの列を見た。
そこには、鼻に包帯を巻いていて、友達と仲良く話している子がいた。
その子は、ドッジボールの時に嫌がらせを受けていた子だ。その子は、昨日と比べものにならないぐらいとても笑顔だった。
「サフィアさん、昨日のドッジボールでいじめられていた子、昨日と全然様子が違いますが、いじめが無くなったんですか?」
「あぁ無くなったらしい。多分次のターゲットが見つかったんだろう。」
サフィアさんはさっきまでのテンションとは違い、落ち着いた様子でそう言った。
「ターゲットってなんですか?」
僕がそう訊くとサフィアさんは、驚いた顔をして言った。
「お前、まだ学校の校則知らないのか?もしかして、セリーナとメール交換していないな?」
「セリーナ……金髪の背の高い女の子ですか?……はい。ライアンさんのメールを通してメールを交換しました。」
「セリーナとメールを交換したら、沢山学校に関してのメールが来る。その中に校則についてのことが書かれているファイルがあるはずだ。読まなかったのか?」
サフィアさんはため息を吐きながらそう言った。
「まだ読んでいません。」
僕は、正直に言った。
実は、セリーナさんからのメールが、大量に来て鬱陶しくなったのだ。メールの内容も自分の事ばかりで正直飽きた。だから、読むのもめんどくさくなって夜になってから今までセリーナさんからのメールを見ていなかった。
サフィアさんは、慌てたような顔をして、
「お前、今スマホ持ってるなら今すぐに読め!そうしないと、もしお前に何かあったら俺は、どうすることもできないぞ。」
と言った。
サフィアさんの顔を見て、何か重要な内容かもしれないと思い、すぐにスマホを見ようとした。
すると突然、スマホの着信音が一斉に教室中に鳴り響いた。クラスメイトは、一斉にスマホを見始めた。
何かあったのだろうと思い僕とサフィアさんは、スマホを見た。[学校共有メール]という所から着信が入っていた。
僕は、そのグループにもともと入っていない。誰かが僕を勝手に招待して入れたのだろう。僕は、恐る恐るメールを開いてみた。
すると、とんでもないことが書かれていた。
『S組のマノン・ニコルは、校則を破った。よって、そいつを今日からターゲットとする。
ちなみに、ターゲットは、とても貧乏で、育ちが悪いらしい。だから、万引きをサラッとしたことがある。空気を読めないバカだ。』
僕は、これを読んで動揺した。
すると、横からサフィアさんが、小声で
「呑まれるなジュントム!これはデタラメだ。」
と言った。
だよね、あの勇敢なマノンさんが、そんなことするはずがない。僕はそう信じた。
だが、教室のあちこちからマノンさんに対しての悪口が聞こえた。
ある男の子は、ドアの隙間に黒板消しを挟み、そして何人かは、マノンさんが教室に入ってくるのを待っていた。
3分後、マノンさんが教室に着き、ドアを開けた瞬間、挟まれていた黒板消しが降ってきて、マノンさんの頭の上に落ちた。マノンさんの頭は、チョークの粉まみれになっていた。
そして、それを見た男の子達が全員、大声で笑い始めた。
マノンさんは、黙って下を向いていた。昨日までの勇敢なマノンさんとはまるで別人のようだった。マノンさんは、自分の席へ行きかけた。
その時、
「マノン!ちょっと来て!」
と大声で叫ぶ声が聞こえた。セリーナさんだ。セリーナさんは、わざと自分の机からペンを落とした。見た目からして高級なペンだった。
マノンさんは、セリーナさんの居るグループの方へ向かった。
「それ、拾って。」
セリーナさんが言った。
マノンさんは、セリーナさんのペンを拾ってセリーナさんの机に上に置いた。
そしたら、セリーナさんが、
「誰が、素手で拾えと言ったの?」
と言ったのだ。
いや普通、拾うって言ったら手で拾うものでしょとセリーナさんにツッコミたくなったが、さっきの発言は酷いと僕は思った。
マノンさんは声を震わせながら
「誰も言ってません。ごめんなさい。」
と言った。
するとセリーナさんは、周りにいたクラスメイトに
「今の聞いた?」と質問した。
ほとんどのクラスメイトが、「聞こえてなーい。」と一斉に答えた。
「誰も言っていませんでした!!すみません!」
マノンさんは、もう一度大きな声で言った。
するとセリーナさんは、
「だよね。誰も言ってないよね。これだからバカは。ちゃんと頭働かせないとダメでしょ?」
と言った。
僕は、もう気持ちの限界だった。黙って見てられない。そう思い、僕はその場に乗り込もうとした。
すると、誰かにガッと手を掴まれて、引き戻された。後ろを振り返るとそこには、サフィアさんがいた。
僕は、小声でサフィアさんに言った。
「何するんですか?離してください!このままだとマノンさんが…。」
だが、サフィアさんは、僕の手を離さなかった。
「もちろんわかっている。だが、相手が悪すぎる。今は、耐えろ。」
サフィアさんは下を向いた状態で小声でそう言った。
僕は、分からなかった。耐えられるはずがない。
もし、このまま放置したらマノンさんがどうなるのか分からない。これは立派な集団いじめだ。
「今、誰かが止めないとダメです。ここで傍観者ぶっていても何も変わりません。僕は、罪もない人が酷い目に遭い、悲しんでいる姿を見ることが、嫌いなんです。お願いします。手を離してください。」
と小声でお願いした。
それでも、サフィアさんは、僕の手を離してくれなかった。
そして、僕の耳元でこう囁いた。
「俺もお前と同じだ。俺もあっちに行ってぶん殴りたい。だけど、ダメなんだよ。あいつに逆らうと逆らった奴は、大変な目に遭う。俺は、何回も見てきた。だから、お前にそうなってほしくないんだ。お前以外にもお前と同じように思っている奴は、他にもいる。」
僕は周りを見た。すると、下を向いて黙り込んでいる人が沢山いた。確かに僕と同じことを思っている人がいるようだ。アンリさんやノエルさんもそうだった。
すると、サフィアさんは、僕の服の裾を引っ張り顔を上げた。サフィアさんは、泣きそうな顔で小声で言った。
「堪えてくれジュントム。お願いだ。」
それを聴いて僕は、少し心に靄があったが、サフィアさんの言うことを信じてみようと思った。
まだ、嘲笑い声や悪口が、教室中に響いていた。
「あーあ、汚い。菌がついちゃったじゃない。もうこれいらないわ。」
セリーナさんがそう言いながら、ペンを床に落し、
「拾うんだったら拾えば?あなた見たいな貧乏人が買えないでしょ?」
と言った。
マノンさんは、拾うのを躊躇していたが、みんなの視線が怖かったのかそのペンをサッと拾い、自分の席に座った。
みんなは、その姿を見てクスクス笑っていた。
そこにフランク先生が、来て
「お前ら席につけ!!」
と言った。
みんなは、急いで席に着いた。みんなが座った時には、何もなかったかのようになっていた。
すると、サフィアさんが、耳元で
「今日放課後、俺達のグループで会議をする。その時にこの学校の秘密を全て教えてやる。」
と言った。
僕は、大きく頷いた。秘密って一体なんだろう?そう思いながら僕は教科書を開いた。
全ての授業が終わり、みんなが教室から出た後、サフィアさんが、
「さあジュントム、行くぞ!秘密基地へ!」
と言って廊下を指さした。
やっぱり面白い人だ。
「秘密基地って一体どこにあるんですか?」
と僕が訊くとよくぞ訊いてくれたというような顔をして、僕の腕を掴んで
「それは、行ってからのお楽しみだ。行くぞ!転けるなよ!」
と言い、僕の腕を掴んだまま走り出した。
僕も頑張って転けないように着いて行った。サフィアさんは、足を止めずに走り続けているので、僕の足がボロボロになりそうだったが、気合いで治した。
学校を出て、少し離れた住宅街の中の大きな家の前でサフィアさんは、足を止めた。
「ここが、グループの秘密基地だよ。」
とサフィアさんは、僕に教えてくれたが、走りっぱなしだったため、僕は疲れて粗い呼吸になり、話す気力が無くなっていた。
すると、サフィアさんが、
「ごめんなジュントム。疲れただろ?ほら、これ。俺のお茶一本やるよ。」
と言い、お茶を一本渡してくれた。
優しくて思いやりがあるなと思った。だが、お茶の量が満タンではなかったため、もしかしたらと思い、訊いてみた。
「サフィアさん、これもしかして飲み掛けですか?これもし僕が飲んだら、間接キスってことになりますよ。」
僕は、少し顔が赤くなった。
それを聴いたサフィアさんも恥ずかしさのせいか顔を赤くして
「あっごめん。うっかりしてた。はい、新しいやつ。それは、まだ口つけてないからな。」
と言い、新しいお茶を僕に渡した。
ちょっとおっちょこちょいなんだなと僕は思いながら、お茶を飲んで水分補給をした。
僕の体力が回復したのを見て、サフィアさんは、玄関のデジタルロックの前に行き、番号を押した。
すると、ガチャという音と共にドアが開いた。
サフィアさんは、ドアを押さえながら、
「ジュントム。ホノアヘようこそ。」
と言った。
ホノアというのは、グループの名前だろう。そう思いながら、僕は秘密基地に入った。
サフィアさんも僕の後に入り、サフィアさんが入った。
瞬間、ドアが自動的に閉まった。言い、僕の腕を掴んだまま走り出した。
僕も頑張って転けないように着いて行った。サフィアさんは、足を止めずに走り続けているので、僕の足がボロボロになりそうだったが、気合いで治した。
学校を出て、少し離れた住宅街の中の大きな家の前でサフィアさんは、足を止めた。
「ここが、グループの秘密基地だよ。」
とサフィアさんは、僕に教えてくれたが、走りっぱなしだったため、僕は疲れて粗い呼吸になり、話す気力が無くなっていた。
すると、サフィアさんが、
「ごめんなジュントム。疲れただろ?ほら、これ。俺のお茶一本やるよ。」
と言い、お茶を一本渡してくれた。
優しくて思いやりがあるなと思った。だが、お茶の量が満タンではなかったため、もしかしたらと思い、訊いてみた。
「サフィアさん、これもしかして飲み掛けですか?これもし僕が飲んだら、間接キスってことになりますよ。」
僕は、少し顔が赤くなった。
それを聴いたサフィアさんも恥ずかさのせいか顔を赤くして
「あっごめん。うっかりしてた。はい、新しいやつ。それは、まだ口つけてないからな。」
と言い、新しいお茶を僕に渡した。
ちょっとおっちょこちょいなんだなと僕は思いながら、お茶を飲んで水分補給をした。
僕の体力が回復したのを見て、サフィアさんは、玄関のデジタルロックの前に行き、番号を押した。
すると、ガチャという音と共にドアが開いた。
サフィアさんは、ドアを押さえながら、
「ジュントム。ホノアヘようこそ。」
と言った。
ホノアというのは、グループの名前だろう。そう思いながら、僕は秘密基地に入った。
サフィアさんも僕の後に入り、その瞬間、ドアが自動的に閉まった。