氷菓
商品名:サクレ レモン
種別:氷菓
メーカー:フタバ食品
私はもとより、アイスクリームというものを信用していない。
冷たく蕩け、いかにも夏にお食べくださいという顔をしておきながら、いざ食べるとクリームで手はべたべたになるし喉の渇きは収まらぬし、ほとほと懲りている。色々な味を用意しているものの味を見るとどれもたいしたものではない。バニラとコーヒー以外は、色を楽しむ程度のものである。
その点、氷菓ならば上述の欠点は解消されており、特にサクレは素晴らしい味である。これがなければ夏を越せぬと言ってもよい。
サクレの外周部の氷は荒く、逆に内側はきめ細やかで味も濃くなっている。この味の濃淡こそが氷菓の素晴らしい点であり、味の均一なクリームには真似できぬところだ。
味の濃淡があるということは食べ飽きぬということでもあり、上に乗っているレモンの酸味も含め、素晴らしく美味い。
蟹や蝦の刺身がなぜ美味いかと言うと、それは味噌が美味いのであるが、味噌だけを味わうのでは美食とはいえぬ。カップ一膳の中でそれを表現しているのが、サクレなのである。
これほど美味いのに、食していくとカップの深さにまた驚かされる。たっぷりと身が詰まっており、近年の夏の暑さにも十分に対抗できる量があるのだ。カップの直径と深さのバランスも素晴らしく、あともう少し幅広ければ氷の解けるスピードに食べる速さが間に合わず、逆に深ければせっかくの味の濃淡が失われて下品な味になっていたところだ。
最近はオレンジなど、レモン以外の味もいくつか売り出されているが、まずはレモンを味わうべきである。レモンこそが基本の味であるということは肝に銘じておくべきである。オレンジでは甘みが強く、せっかくの味の濃淡が殺されるきらいがある。目先が変わったというだけで、じっくりと味わうには向かぬ。
じきに夏が来るので、冷凍庫を空けておくなら今のうちにすべきである。