葉を食うか食わぬか
商品名:桜もち
種別:和生菓子
メーカー:セブンイレブン
(PB製品については、販売元を入れることにします)
セブンイレブンというのはなかなかどうしてたいしたもので、味に対するこだわりというものに優れている。万人に対して美味いものというのは難しいどころか不可能であるし、値段の問題も出てくる。味というものはある種の割り切りが必要なのだが、そのあたり割り切りも含めてのこだわりである。
桜餅や柏餅というものは、葉を食べるかどうかで常に悩む食べ物である。これについて、本来はどうとか、東ではこうだが西ではどうだとかいう話は時間の空費に他ならぬ。
だいたいは食えるように作られているものの、結局は料理人がどちらを想定して作っているかが問題であり、客としては当人に聞かねばわからぬのである。
わからぬなら食わねばいいというのもまた乱暴な話であり、一流の料理人は葉も合わせて全体の味の色調をとるものだから、食うべき時には食わねば本当に味わったとは言えぬのだ。
セブンイレブンのこだわりというのは、まさにここである。桜もちの上に乗っているのは桜の塩漬けだ。食べるかどうかで悩むなら、食べるしかないものにしておけばよい。
まさにコロンブスの卵とも言える、逆転の発想である。
まずは深く考えずに、かぶりつく。この際、一口目から上の塩漬けを食べないように注意すること。口の中に広がる優しい甘みをまずは味わう。こし餡を使用しているのも良い。桜もちというのはもち米の形が荒く残るもちを使うから、これがつぶ餡では食感が濁り、いっぺんに悪くなる。
そして二口目以降を食べるときに塩漬けも一緒にかぶりつくと、塩気で舌の上に残った甘みがさらに鮮烈に感じられるのである。これがうまい。桜もちは二口目なのだ。
和菓子であるから茶に合うように作られているのはもちろんなのだが、茶がなくとも食べ終わるまで味に起承転結をつけるというのは、なかなかの巧みさである。
セブンイレブンの和菓子は季節により色々な味を楽しませてくれるのだが、その中でも桜もちの出来栄えは頭一つ抜けていると言ってよい。
もうすぐでシーズンも終わるだろうから、まだ食べたことのないという方がいれば、今のうちに食べておくことを強くおすすめする。