美味な調味料の話
商品名:ハッピーターン
種別:米菓
メーカー:亀田製菓
美食倶楽部内で、一番うまい調味料は何かと話し合ったことがある。やれ赤穂の塩だの醤油は鹿児島に限るだの、いやダイショーの味塩こしょうはどうだということでさんざんに盛り上がったのだが、やはり皆これだけはというものがあり、それがハッピーパウダーであった。
一度パウダーをまぶす前のハッピーターン、すなわちターンということになるが、ターンというものを食うてみたいものである。かの味がどれほどにパウダーに依存しているものか、大変興味がある。
とはいえ、便利過ぎる調味料というものは料理人の感覚をも乱すものであり、ハッピーパウダーをとにかくかければ良いという昨今の風潮ほど愚かしいものはそうあるまい。偉大なる先人たちが研究に研究を重ねてたどり着いた比率を軽々に触るべきではなく、パウダー250%などをありがたがっているようでは、自分は味がわからぬと吹聴して回るようなものである。
ターンは固過ぎないものを選ぶとよい。若干しっとりとしているほうが、味に落ち着きが出る。食う時はまずターンの平たい部分を舌の上にべたりと乗せる。がぶりとすぐに食いつくのではターンが口の中で砕けてしまい、パウダーの味がしっかりと味わえない。舌の上でたっぷりと出汁が染み出してきてから、おもむろに噛み砕くのである。
決して貪ってはならない。口の中の味が引くのを待ってから次を頬張らねば、舌が馬鹿になってしまう。馬鹿な舌でハッピーターンを食い続けるなど、蟹の味噌のみをありがたがって食う成金と変わらない。
ハッピーターンはハッピー味としか形容しようのない味である。甘さとも辛さとも言えぬあの味が味覚を存分に楽しませてくれるのはわかるのだが、何味かと聞かれれば、一言「美味い」と言うしかない。似たような味の菓子も探してみたが、どれもハッピーターンとは似ても似つかぬ味である。
日本人のみがこの味を独占しているのであり、考えてみればこれはなかなかに罪深いことである。