干し肉の味
商品名:おやつカルパス
種別:乾燥食肉製品
メーカー:ヤガイ
土地のものには土地の酒と前回述べたが、ではジャパニーズウイスキーだから日本の飯に、例えば鯛の刺身にあうかといえば甚だ疑問で、例えば馬刺しのようなものとあわせるなどの工夫が必要になる。ウイスキーはどの地で作っても、やはりウイスキーなのだ。
ただ、つまみは高いからいいというわけでもなく、やはりその辺は相性となる。
ヤガイのおやつカルパスは安価なところが売りであるので、食す時にも相応の雑さが必要になる。じっくり味わうといった美食家ぶることもなく、何も気にせずひとつずつ封を切りながら食すのがよかろう。先にまとめて封をあけておくなどもってのほかである。
とはいえ、口に入れたあとは噛みしめる心の余裕は欲しい。舌の上に残る肉汁のうまさをウイスキーで流し込む瞬間にこそ味覚の感度を上げておかねば、魚肉ソーセージを食うのとさして変わらぬということになりかねない。
カルパス自体はもっと味に深みのあるものも多いが、値段とその量、あの短さで個包装されているというのがおやつカルパスの強みである。「高いからよかろう」といった基準で食事を選ぶのは愚の骨頂だ。
とはいえ味自体そこまで卑下するほどのものではなく、噛んだ瞬間にじんわりと塩気のある肉の味の唾液がしっかりと口内に広がることを思えば、最上とは言えぬまでも、次の一杯を求める欲求としては十分以上の働きである。
ウイスキーとの相性について語ったが、しかし年中昼間から酒を飲むわけにもいくまい。そういう時にはコーラを使う。
コカ・コーラの太い甘みと炭酸は、おやつカルパスに少しも引けを取らない。
しかしコーラを飲みつつおやつカルパスをほおばるとなると、これはもう幼児のごとき所業である。たまの楽しみなら許されるだろうが、あまり人に見せるものでもあるまい。
逆に考えると、子供とてカルパスを十二分に楽しむことができるという証左でもある。