情景を食う・2
商品名:クリスマスケーキ
種別:洋菓子
メーカー:各社
季節の味というものがあるが、自分の食いたいものを他者に委ねるというのは、大いに反省すべきである。
例えばクリスマスケーキというものがある。欧米の風習を何も考えずに導入したものだから、苺は旬を外し甘みが足りぬし、大量生産された生クリームは気が抜けている。
それでもチョコレートなら多少はましな味であるが、こちらは昨今のカカオ豆の価格高騰の影響もあり、金銭面の負担が馬鹿にならぬ。
極め付きは、皆が同日に買い求めに来るものだから、道がひどく混む。
仕事終わりにやっとの思いでコンビニへたどり着き、さあカレーまんでも頬張ろうかと思っていたところで、什器の中はチキンが占領している。
ここでチキンを食ってもいいのだが、気分でないものを食わされるというのも癪なのである。
鶏肉側にも問題がある。昨日までは庶民の味方を語っておきながら、クリスマス当日となると何の信条も拘りもなくあっさりと裏切り、高値を吹っ掛ける。これはいけない。
不味いものを美味い美味いといって食うのは個人の自由であるが、それが余人の迷惑にまで発展するとは、まったくもって甚だ遺憾である。
食とは何といっても「美味く」なくてはならぬ。美味くとは、味やカロリーや栄養だけでなく、心の幸福である。
メリークリスマスなどと言った陳腐な言葉からは良い刺激につながるわけもなく、甘ったるいケーキでは酒も進まない。
そもそもワインというものを私は信用していない。いくら高級だ何年ものだと偉ぶったところで、渋柿を絞り出したような味は貧乏くさいだけである。
白ワインのほうがまだ飲めるのだが、こちらはこちらで、「ナッツのような粗野なつまみと合わせないでください、最低でもチーズでしょう」と言わんばかりの生意気さが鼻につくのである。
日本の冬は、鍋と焼酎が相場である。




