蕎麦と天ぷら
商品名:どん兵衛天ぷらそば
種別:即席カップめん
メーカー:日清食品
鰹節のうまさというものは、実に断然たるものだと私は言い切る。そのうまさは出汁に使ってこそ活きるもので、特に蕎麦やうどんに優るものはない。
これに比するとラーメンなど実にあさましい食べ物という他なく、やれ豚骨だのやれバター味噌だの、油の味を喜んでいるようでは自分の舌の幼稚さを喧伝して回るようなものである。
では次に鰹の汁にどんな麵を合わせるかということになるが、これには具との相性を考えて選ぶ必要がある。なにせいくらうまい麺だとしても、具なしで丼一杯も食べれば飽きが来る。きつねうどんのおあげも大変うまいが、数日続くと、肉うどんに入っているぼろきれのような肉が恋しくなる。
けだし、きつねのあげではボリュームがあっても歯ごたえが足りず、肉うどんの肉では味気や存在感はあってもボリュームが欠けているのだと思う。
さらに踏み込むと、うどん麺はこしがあって腹にもしっかりたまるのだが、米ほどの不断さは持ちえない。飯の代わりに食うのならまだしも、酒のあとに食すには少々かしこまり過ぎていると私は思う。
麺は蕎麦、具はあとのせの天ぷらが至高である。三分も待たせておいてふやけた天ぷらを出されると普通は食う気も起こらぬところだが、あとのせならその心配もない。
天ぷらの歯ごたえと汁の染みた味と、一番うまいところを両方味わえるのだから、これを選ばぬ理由はない。
食うのなら日清の天ぷらそばを選ぶべきだ。同じように見えても、日清と他の料理人とでは、こしの強さにはっきりとした差がある。細い蕎麦麺になると、特にこの差がごまかしのきかぬものとなる。
軽い蕎麦とサクサクの天ぷら、この組み合わせが一級なのであり、その他の組み合わせはどうしても二、三歩劣っている。
焼酎でもビールでも良いが、風呂のあとにしっかりと酒で冷涼を享受したあとで食う天ぷらそばは、至高の一杯と言って差し支えない。
もちろん酒と一緒に味わうのも最高で、ビールの苦さ、冷たさを包み込むのが鰹節のスープである。このときばかりは蕎麦とうどんで明確な差が出る。蕎麦のほうが麵が細い分、スープがより絡むのである。
ところでカップ麺には大抵七味がついているが、昨今はあれの使い方を知らぬものが多いので、記しておこうと思う。
最初からすべて入れてしまうのは味のわからぬものがする愚行も愚行と言うほかない。
まずは料理人が作ったそのままの味をしっかりと堪能し、半分ほど食ったところで、味に飽きがこないように使うものである。最初から入れるのでは単なる調味料であり、何のためにわざわざ「薬味」と名付けられているか、その意味を推して知るべし。




