あられ
商品名:昔なつかしい味 東陽のバターあられ
種別:米菓
メーカー:東陽製菓
ふしぎに思われるかもしれないが、最高の美食というものはそればかり食べていてもまったく飽きさせぬものである。
特に東陽のバターあられは、それをつまみに飲みだしたが最後、飲んではつまみ、つまんでは飲みと、一向に酒が止まらぬことになる。たかが小さなあられの一粒一粒が、実に複雑な味わいを見せるのである。
つまみとは酒と合わせて食すものだから、単体で美味いだけではだめである。酒を飲んだ時に一番美味く感じないと、つまみとは言えない。
さらに言うと単に酒が進むだけのつまみには、価値がない。口の中の味を消すだけでは中の下で、酒が普段より美味く感じなければならない。
東陽のバターあられは、粒が小さい分、味付けは濃い目に作られている。ひとくちが酒の味を邪魔しない程度に巧みに抑えてあるので、ちびちびと飲むのにちょうどよい。
これでは合わない酒を探す方が難しい。
ほうほう、そんなに美味いとはさぞ良いバターを使っているのだろうと思われる方もいるかもしれない。
美味いバターを食おうと思ったら、北海道に行かねばならない。栃木や熊本などでも酪農は盛んで良質のバターが取れるが、やはり北海道産には一歩及ばぬ。
令和の時代、バターは多数の菓子に使われており珍しくもないが、ことバターの味を一番良く引き出しているのは東陽のバターあられだと私は思う。
一度食してみれば、味というのは千変万化錯綜するもので、舌というものは元来あてにならぬものだということを思い知るだろう。




