洋菓子について
商品名:こだわりのフィナンシェ
種別:洋菓子
メーカー:ファミリーマート
昨今の洋菓子はごてごてとイメージだけを飾り付けられて美趣味が欠如しており、酷い様相を呈している。
洋菓子と聞いて一般に皆さまが想像するのは、軟弱としたスポンジ生地と甘ったるいだけが取り柄のクリームであろう。芯の一本通った洋菓子を食べようと思えば、ファミリーマートを訪れる他はない。
フィナンシェといえばどのコンビニエンスストアでも販売しているが、私の知る限りはファミリーマートのフィナンシェが一等よいものだと思う。
一口食えば、その食感の違いはすぐにわかる。固いのだ。洋菓子のスポンジといえば柔らかさが肝とばかりにどの料理人もスカスカになったものを出してくるが、たかだか数百円の菓子如きで柔らかさを競ったところで、団栗の背比べというところである。
菓子に限らず、料理は食感である。食感とは素材そのものである。「焼き」菓子というのだから、固さを武器にするのは自然な発想でありながら、料理人の非凡さをうかがえるところでもある。
かぶりついてみると、確かに甘みはあるものの、とてもさっぱりとした甘さである。よくあるフィナンシェはしっとりとした生地がまとわりつき、常住不断に舌に甘みを訴え続けてくるものだが、私は予てよりそれがうっとおしく感じていた。菓子は甘いのが当たり前であるから、声高に甘みを叫ばずともよいのである。問題となるのは甘みの質であり、量ではない。
もう少し強い甘みが欲しい時には、こだわりのマドレーヌを選ぶと良い。丸々と太った腹からはバターの風味がより強く感じられて、これも美味い。フィナンシェより量も多いので、腹が減ったときに選ぶのも良いだろう。
日々の疲れを癒すのも料理の大切な役割の一つである。労働のあとの缶コーヒーとフィナンシェこそ口福であり、美食である。




