ざらめ
商品名:田舎のおかき ざらめ味
種別:米菓
メーカー:岩塚製菓
以前堅ぶつの塩の味について語ったことがあるが、今回はざらめ即ち砂糖である。
塩と同じく砂糖も、単に甘ければいいというものではない。甘さの中に旨味がなければならず、単にまぶすのでも芸がない。田舎のおかき ざらめ味は、その塩梅が非常に良い。おかき本体は軽い食感でとどめておきながら、その上に醤油とざらめがからめてあるのだが、この味の濃さが非常に素晴らしい出来栄えなのである。
かじるとさらっと砕けるおかき本体は、ややもすれば物足りなさを感じてしまいそうなものだが、ざらめの荒さや固さがそれを補っている。
かかっている醤油もとても良い。醤油の味がもう少し濃ければ、おかきの中にまで染み込んでくどくなる。逆に軽ければ、今度はざらめの甘さがきつくなり、味が単調になる。絶妙なところをついているのである。
田舎のおかきには他に塩味もあるが、こちらも塩気の中に隠すように甘みがあり、うまい。おそらく同じ料理人の腕によるものだろうが、もしこの料理人にだしを取らせたら、どんなやかましい食通からも文句は出ぬであろう。
このおかきの素晴らしいところは軽さだが、軽すぎることの弊害も話しておかねばならない。歯を入れるとおかきが自ら崩れるために、ぼろぼろと下にこぼれてしまうのである。
だがここにも料理人の非凡なところが現れており、食感を変えるのではなく、個包装することで崩れても袋の中にくずが落ちるように工夫してある。美味いものを一番美味い形でそのまま客に食わせてやろうという心意気を感ずる部分である。
客に文句を言われたらすぐその部分を取り除こうとする軟弱な昨今の風潮は、まったく愚かなことだ。
企業として多数の客を相手にするならまだしも、本来一国一城の主たるはずの料理人までがそれに倣うのだから、まったく大変なことである。田舎のおかき ざらめ味を食べて、自らを見つめ直してほしい。