芋の味
商品名:黄金色スイートポテト
種別:菓子
メーカー:セブンイレブン
スイートポテトに限る話ではないが、料理というものは財力のあるなしで天地の差が出るものである。ある人とってはたまの贅沢が、ある人にとっては単なる茶菓子で、そのあたりを考えぬと話に聞いてたいそう美味そうに感じたとしても肩透かしを食らわせられることになる。
とはいえコンビニエンスストアの範囲に限れば、個々人の財力の豊かさと味にさほどの開きはあるまい。
スイートポテトは人気の商品であるからして、コンビニエンスストア各社それぞれが工夫を凝らしたものをだしており、当然それぞれ値段が違う。その中でセブンイレブンは初期から高級志向であり、170円という強気の価格で売り出していた。バターの香りが大変に濃厚であり、口触りも滑らかで素晴らしい味だ。逆にA社は100円という低価格で押さえており、味は単調ながらも芋の味を生かし、私好みの味となっていた。どちらも満足な出来栄えだった。
ところが昨今の物価高騰の煽りを受けてか、A社のスイートポテトが私の知らぬうちに200円に値上がりしていたのである。もちろん値上がりは仕方のないことであり、実際にセブンイレブンのスイートポテトも幾度かの値上げはしているのだが、それでも税込みで213円である。料理は味のみで評価をするわけにいかず、値段や量も含めて相応なものでなければならぬ。そうでなければ真の口福は得られない。
だが考え方を変えれば、これはセブンイレブンのスイートポテトが値下げされたともいえるので、悪いことばかりでもない。これを読んでいる諸兄諸姉の皆様方には、(相対的に)値下げされた今こそ、セブンイレブンのスイートポテトを手に取っていただきたい。きっと値段以上の満足を得られることだろう。
さて、私は基本的に芋は焼酎にして腹に入れることが多いのだが、そのまま焼いて食べてもなかなか美味い。焼くだけでも甘く美味いのだから、さらに手間をかけたスイートポテトが不味い理屈がない。だがこれを食すには、飲み物も重要である。
セブンイレブンのスイートポテトはバニラビーンズを使用している関係か、甘みが非常に強い。これを甘いジュースと合わせるなどもってのほかで、芋の旨味をすべて捨てる愚行である。コーヒーのほうがまだましではあるが、甘みは引き立たない。カフェオレ、牛乳が多めのカフェオレと共に食うべきだ。ほぼどの店舗にも置いてあるマウントレーニアカフェラッテで構わないが、江崎グリコのカフェオーレもなかなかうまい。たっぷりミルクがあれば、そちらを試すのも良いだろう。
これは甘みの質の問題で、チョコレートの甘みは感じた瞬間が最高潮なので、茶でもコーヒーでもよいので甘みを消してやれば美味く食える。だが芋の甘みはなだらかな曲線でやってくるので、こちらも優しく受け止めてやらねば真に味わうことはできない。そのためには、ミルクが最良なのである。




