豆を食う
商品名:ポリッピー〈しお味〉
種別:豆菓子
メーカー:でん六
つまみは極力シンプルなものがいい。
とはいえ戦国時代でもなかろうに、塩や味噌のみというのはさすがに寂しいものがある。味はともかくとして、噛むという顎への刺激がなくては、酒を飲んでいてもどうもしまらないのである。
そういう意味でいえば、やはりつまみの基本はナッツといえよう。
ポリッピーはピーナッツに色々な味付けをトッピングした菓子である。その中で一番ベースとなる〈しお味〉が至高である。
昨今はチョコがけというものもあるが、あれは邪道であり、過分な甘みはビールの苦みを邪魔するだけだ。
ビールを飲むときは、口の中の苦みを軽く消す程度の上品な甘みがあればそれでよいのであり、〈しお味〉の塩で十分適っている。
〈スパイス味〉や〈4種のチーズ味〉などもたまに試す分にはいいが、やはり塩に戻ってきてしまうのは、塩加減の絶妙さによるものだろう。
ポリッピーの旨味は、その食感にある。衣と煎り加減によってひたすら軽く口の中で砕けるのがよく、ここでもチョコレートとの相性の悪さが出てくる。
砕けた豆がほんのり塩味と共に口の中から消えていくのを楽しみながら、次の一杯をあおるのである。
先ほどビールについて触れたが、ビールは苦みという刺激を持つ酒だ。苦みを旨味として感じられないとつまらないし、舌を苦みに慣れさせないためにつまみが必要となる。ポリッピーの袋の大きさが缶ビールを飲み切るのに丁度よい大きさになっているのも製作者の意図を感じるところで、これがもう少し大きければ余らせてしまい、次回は湿気た豆を食わされることになってしまう。不味いとまでは言わないが、味は確実に落ちる。
ポリッピーの利点は、その手に入りやすさにもある。コンビニ各種で取り扱っているし、値段も普通のスーパーで買うのとそう変わらない。
〈しお味〉のみ置いていない店舗をみたことがあるが、あれはよろしくない。いっそのことポリッピー自体が置いていないならまだあきらめもつくのだが、他の味が置いてあるだけに、客に縁木求魚を強いることになる。担当は猛省すべきであろう。