幸せプリン ~儚いプリンの小さな幸せ~
シャワーを浴びている時にふとプリンに自我があったらと思い執筆しました。
「——はいいよなぁ~、大好きだ」
私のことが好き……?
そうね、私もよ。私もあなたのことが大好きなの。
だって、お店に並んでいる私を見て、あなたはなんの迷いもなく、それが当たり前であるかのように私を選んだのだもの。
これは私……いえ、私たちにとってとても名誉で素晴らしいことなの。
私たちの中には、あなたたちに選んでもらうどころか、日の目を見ることすらなく死んでいく者もいる。
そう考えれば、私は本当に幸せ者だわ。
あなたという人に選んでもらって、好きだと言ってもらえて、私は本当に恵まれている。
それはもう、これ以上ないってくらいにね。
でもね、そんな私でも、いえ、そんな私だからこそ残念で仕方のないことがあるの。
それは、あなたに私の気持ちを伝えられないこと。
どうにかして私の気持ちを伝えたいけれど、私にはその手段がない。
仮にあったとしても、それをやってしまったらあなたはとてもビックリする。
もしかしたら腰を抜かしてしまうかも。
そんなことになったら、私はもう幸せじゃない。
だからね、私はこの気持ちを胸にしまったまま逝く。
とても寂しいし、悲しいけれど、今こう思えるだけで私は幸せなんだから。
あなたと過ごした時間、決して長くはなかったけれど、私はとても幸せだった。
本当にありがとう、さようなら……。