そのチビエマ騎士、規格外!!
チビエマ騎士は、一瞬で堕人の背中に回り込むと……
「チビエマ強制おやすみ砲!!発射きゅ!!」
堕人の背中目掛けて砲撃した。
『ぐぎゃあ!?』
だが、堕人は少しだけダメージを受けただけで元気だ!!
「やっぱりチビエマの姿だとキツいキシな」
後方に飛んでチビエマ騎士は溜め息をつくと、魔導ランチャーを異空間に戻す。
『グオオオオッ!!』
堕人はチビエマ騎士に襲い掛かる。
「チビエマだと威力半減だし、手足短いからリーチ無いしデメリットばかりきゃ!!」
ヒラリヒラリと攻撃を避けながら、チビエマ騎士は腕を組んで憤慨する。
「仕方無いきゅな……」
チビエマ騎士は、堕人の頭に飛び乗ると、魔力を放出させ光輝く。
『ぐぎ!?』
眩しくて堕人は、慌て光るチビエマ騎士を振り落とした。
だが、チビエマ騎士は華麗に着地すると、姿が変わって行く。
ちんちくりんな手足が伸び、身体も人間のように背が高くなり、ちまっとしたチビエマ騎士の顔が端正な顔立ちの青年になって行く。
緑色の長い髪を一つに結わえ、現れたのは長身の鎧を着た美青年だった。
リーヤ・サーバルナイト(43)。エマール王国元魔砲師団師団。
「来るなら来やがれ!!」
『グルアアアア!!』
リーヤに挑発され、堕人は雄叫びを上げて向かって来る。
『ぐ!?』
「随分軽い拳だな?ん?」
堕人の拳を、リーヤは身体強化魔法を掛けず地力の力で僅か片手一つで軽々と受け止めた。
「鍛練が足りないぜ!!うおらっ!!」
『ぐる!?』
そのままリーヤは、片手で堕人の巨体をくるくると振り回し……
「そいやあっ!!」
『ぎゃふん!!』
軽々と放り投げ、堕人は岩場に頭を打ち付けるとみるみる内に小さくなり、裸の青年が目を回して仰向けに倒れていた。
「一丁上がり」
手を軽く叩いて砂を払うと、リーヤは鎧を異空間に移動させ、騎士服の上着を脱いで青年の身体に包むと抱き上げる。
「にしても……堕人案件多すぎだ。しかも、死闘を凌いだ訳でも、絶命寸前でもないのに魔力が暴走してこんなガキが堕人になる訳ねえよな」
リーヤは溜め息をつくと、主の元へ向かうのだった。