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私のキヲク  作者: さぁや
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6

ユーリッヒに婚約破棄を告げてから私はすぐにお父様の書斎へ向かった。


コンコンコンッー

書斎のドアをノックすると公爵家の執事ノディックが扉を開けてくれる。

書斎に入りお父様のお顔を確認してすぐに


「お父様、お仕事中失礼致します。お話したいことがあるのですが、お時間をいただけないでしょうか…。」


(お父様から声をかけられる前に言ってしまいましたわ…。)


ユーリッヒへの怒りや悲しみ、色々な感情が入り混じり冷静になれなかった。


「メアリーどうしたんだい?!そんなに慌てて…。ノディック、お茶を用意してくれるかい?」


「かしこまりました。」


一礼して書斎からノディックが出ていく。


「メアリーかけなさい。」


「はい。お父様」

私はお父様の向かい側のソファに腰掛けた。


「それで…メアリー話しとはなんだい?」

勢いあまって訪れたお父様の書斎…お伝えしなければ…そう思うほど手が震える。

メアリーはふーっと一呼吸した後、


「お父様…ユーリッヒ様との婚約を…解消したいのです。」


ガシャンーー


お茶の用意を済ませたノディックが戻っていて私の言葉にびっくりしたのかティーカップを落としてしまった。


「たっ、大変失礼致しました。」

近くにいたメイドが慌てて片付ける。ノデックは冷静さを取り戻しお茶を出してくれた。


「メアリー…理由を聞いてもいいかい?」

お父様は思っていたよりも冷静…違う…怒っている…?


「お父様…ユーリッヒ様には私よりも大切な方がいらっしゃるようですの。婚約して5年…初めの頃は良く顔を合わせ、読書やお茶を楽しんでおりました…しかしユーリッヒ様が学園にご入学された後から連絡が途絶えはじめ…この2年間は交流は一度もございませんでした。学園生活がお忙しいのかと思っておりましたがー。入学してすぐに理由がわかりましたの。ユーリッヒ様には好いた方がいらっしゃるという事に…。」


お父様は静かに私の話を聞いたあと一口お茶を口にし、ふーっとため息をついてすぐ口を開いた。


「メアリー。詳しい詳細がわかってから話そうと思っていたんだが…先日階段から転落した際にプラチナブロンドの髪をみたと言っていたね?」


先日の転落事故…確かに見た。しかしそれが今関係があるのか私はわからなかった。


「はい…確かにお伝えしましたが、なぜ今お聞きになるのですか?」


「メアリーの証言を元に学園で調査をしてもらったんだ。プラチナブロンドの女子生徒でメアリーに危害を加える生徒はいるのか…。」


私はドキッとした。思わず手を握りしめる…


「髪の色だけで探すとなると大変でね…聞き込みを続けていく中で、ユーリッヒと懇意にしている女生徒がプラチナブロンドだという情報が入ったんだ。これからさらに詳しく調べようと思っていたところだったんだがー。もし、私の考えている通りの結果であれば有無をいわず破棄させるつもりだったんだよ…メアリー」


ゴクンっと息を飲んだ。

「ユーリッヒ様のお相手がプラチナブロンドの髪の毛…」


小さくつぶやいた私をお父様はぎゅっと抱き寄せ


「メアリー。お前を傷つけるものは誰であろうと私は許さない。しかしユーリッヒの事は誤解かもしれない…それでも後悔はしないかい?」


誤解ー。そうだったらどれだけ嬉しい事か…。

だけど、無視をされた2年間は嘘ではない…ユーリッヒは否定もしなかった。それが全てなんだ…


メアリーはコクンッと頷きながら


「大丈夫。後悔はいたしません。」


力強くお父様に伝えた。

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