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簡単にリナに身なりを整えてもらい客室でまつユーリッヒの元へ向かった。
(学園で見かける事はあってもユーリッヒ様からお声がけされることもなかったし私自身も手紙のように無視されるのが怖くて顔を合わせないようにしていたのに…散々人のことを無視しておいて急になんなのよ…)
心の中では不満に感じながらも態度や顔に出さないメアリー。
「ごきげんよう、ユーリッヒ様。突然のご訪問大変嬉しく思います。」
淑女のお手本と言えるほど完璧なカーテシーをしながら少し…嫌味を含めた挨拶をするメアリー。
そんなメアリーをみてユーリッヒは急に腕を掴んだー。
「きゃ。」
強く掴まれてしまい思わず悲鳴が出てしまった。
「階段から転落したと聞いた。何を考えているんだ!死んだらどうする!」
捲し立てるかのように攻め立てるユーリッヒをお茶を運んできたリナが慌てて止めにはいる。
「ユーリッヒ様おやめ下さい!お嬢様は病み上がりなのですよ。」
「うるさいっ!」
「リナっ!」
必死に止めようとするリナをユーリッヒは力強く払いのけ、リナは飛ばされるような形で倒れ込んでしまった。
「リナ大丈夫!?怪我をしていない?」
コクンと頷くリナを見てほっと安心すると同時にフツフツと怒りが沸いてくる。
「…ユーリッヒ様は何がなさりたいのですか?」
明らかに今まで聞いたことのないようなメアリーの声色に一瞬動揺をみせるユーリッヒだったが
「なんだと?」
冷静さを取り戻したのか冷たい返事が帰ってくる。
「連絡もなく突然やってきたかと思えば、病み上がりにもかかわらず無理に腕を捕まれ、怒鳴られ、言われのない説教まで…挙句に私の大事なリナに手をあげるなど紳士のする行いとは到底思えませんわ。」
「それはお前が自分の不注意でよりにもよって階段から転落なんかするからだろ!」
はぁ?はぁぁあ?
私の不注意!?なにそれ?邪魔って押されて落ちたのに…?
不注意…!?
「はっ不注意…そうですわね。まさか急に人から押されるなんて思わず後ろを警戒していなかった私が悪いのですわね。」
小さな声で呟やく…
「誰かに押されただと…?一体…だ」
「わたくしが!知りたいですわ。そんな事。プラチナブロンドの女性に!邪魔だっと言われながら押されましたわ!なんですの?人の話も聞かない。手紙もきちんと読まない。自分の気の向くままお説教。わたくし、しってますのよ?ユーリッヒ様に懇意にしている女性がいらっしゃる事!」
「メアリー…なぜそれを…」
ユーリッヒはバレてはいないと思っていたのか呆気に取られ言葉に詰まっているがメアリーは止まらない…止められない。前世の自分と重なってしまいどうしてもユーリッヒを許せない。
「人の事散々無視してきたではありませんか。どうぞこのままわたくしのことなど無かったものとお考えくださいまし!お父様にはわたくしからお話致します。」
「メッメアリーそれはどう言う意味だ!」
メアリーは、はっと鼻で笑ったあと。
サッと淑女らしく笑顔で答えたー。
「ユーリッヒ・ラズベル公爵令息様、婚約を解消いたしましょう。」