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前世のキヲクを思い出した後、大泣きするリナがお父様、お母様、お兄様を連れて戻ってきてからは本当に大変だった。
リナと同じく大泣きするお母様。
「一体何があったんだ!」っとオロオロするお父様。
私の頭を優しく撫でながら泣きそうな笑顔で「大事に至らなくて本当によかった…」っと言ってくださるお兄様。
「ご心配おかけしてしまい申し訳ございません…。私はもう大丈夫ですわ!」
そう笑顔で答えるとみんなほっと安心してくれました。
「メアリー…。一体、学園で何があったんだ?」
お父様が私の手を握りしめる
「お父様…。それが私もはっきりとはわからないのです…いつものように侯爵令嬢のカミエル様と一緒に次の授業の為移動しておりましたの。途中カミエル様の婚約者のルイス様にお会いしたので、お先に行くと伝えて1人で移動していた所背中を押されて…」
ぎゅっとシーツを握りしめる
「貴方、本当に邪魔っと…声がして落ちてしまいました…。」
きゃっとお母様の小さな悲鳴が聞こえるー
お兄様はもちろんお父様は怒りに震えている…そんななかでも冷静さは保ったまま
「他にはなにか覚えていることはあるかい?」
お父様は優しい声で尋ねてくれた。
「他には…あ…お顔は見ていないのですが気を失う間際にきらきらになびくプラチナブロンドの長い髪の毛は見ました…それ以外は…わからなくて…」
そうつたえるとお父様は私をぎゅっと抱きしめて
「大丈夫だよ。今はしっかり休みなさい」
と言ってくれた。
あれから1週間。
ゆったりした日々を過ごしている。
そんななかでも時折思い出すのは前世の娘の事。
急に母親がいなくなって悲しんでいるだろう…
「由美…ごめんね」
もう抱きしめてあげることも話を聞いてあげることもできない娘…。
思わず涙が溢れるー。
コンコンコンッ
ノックとともに「お嬢様」っとリナが呼びかける
慌てて涙をふき、「どうぞ」っと伝える。
私の許可をえて入ってきたリナが顔を見るなり慌てて私に近寄ってきた。
「お嬢様いかが致しましたか!?どこか痛むのですか?!」
泣いて赤くなった目を見て心配するリナ。
「大丈夫よ!心配しないで。目にゴミが入ってしまって擦ってしまったの」
「お嬢様…本当に大丈夫なのですね…?」
「えぇ。本当よ。 それより、どうしたの?」
「あっ大変失礼致しました。メアリー様、ご婚約者のユーリッヒ様がお見えです。」
「えっ?ユーリッヒ様が?急にどうして?」
「先日公爵様よりお嬢様がお怪我をなされたと一報をユーリッヒ様宛にお送りしたそうなので、お見舞いにいらしたのかと…。ただ…いつものユーリッヒ様からは想像も出来ないくらい動揺なさっているご様子で、お嬢様に合わせろっと…。」
私が10の時に婚約した公爵令息のユーリッヒ・ラズベル様。幼い頃はよく一緒に読書をしたりお茶をしながらお話したりしていたが、ユーリッヒ様が学園に入学されてから徐々に書いたお手紙にお返事が来なくなってしまい、ここ最近は交流はぱったりとなくなってしまっていた。
そのかわりユーリッヒ様の良くない噂は時折耳にしていた。
ある令嬢と懇意にしているとー