1
「貴方、本当に邪魔なのよ!」
背中を押された衝撃とともにかけられた言葉。
公爵令嬢であるメアリー・ミレイルは自身が通う学園の階段から何者かに突き落とされてしまった。
きらきらなびくプラチナブロンドの髪の毛が目に入ったが頭を強く打ち付けてしまい顔を見る前に気を失ってしまった。
********
「ママー、パパー!いってきます!」
一人娘の由美が元気に出かけていく。
「「行ってらっしゃい」」
仲良く娘を見送る私たち。
「あなたも急がないと!!」
私の声がけに「あっ本当だ!」っと慌てて支度する私の愛する夫。
いつものように行ってらっしゃいのキスをして見送ったその日、幸せな私の日常が終わりを迎えるなんて思いもしなかった。
何気なく過ごしていた平凡で変わり映えのしない日々。だけど愛する娘と夫と過ごす日々は間違いなく幸せだった。
だけど見てしまった…
愛する夫が見知らぬ女性と腕を組みながら歩いてる姿をー。
信じられず跡をつけてしまった。つけなければよかった。
照れながらキョロキョロ周りを確認しながら2人は人混みに紛れてキスをした。幸せそうにお互い見つめ合いながら。
********
「ーじょーーま」
「お嬢様ーー!」
涙でボヤけた視界の中で誰かが叫んでる。
クリクリした可愛い目いっぱいに涙をためて私の手を握りしめながら声をかけていたのは、幼い頃から私に支えてくれている待女のリナだ。
「リナ…?」
そう呼ぶと私が目を覚ました事に気が付いたリナは、
「お嬢様が目を覚ましたっ!お知らせしなくては!」っと大泣きしながら部屋を飛び出してしまった。
リナが出ていく姿を目で追いながらメアリーは目を覚ます前に見ていた夢を思い出していた…
「あの夢…すごくリアルだった…。そして胸が張り裂けそうにくるしくて…涙が止まらなくて…」
そう言いながら目を擦るー
「あれ…?本当に濡れてる…?夢がリアルだったから…?」
口に出したメアリーはふっと思った…
【リアル】
自然にでた言葉だが今までリアルなんて言葉使ったことも聞いたこともなかった。
だけど自然に出てきた言葉。
夢でみた女性の娘も夫もなぜか知っている。
いや…よく知っている。
「由美…私の可愛い愛する娘…。拓実…私の愛した夫…」
アレはゆめじゃない…私の前世のキヲク…