第8話
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鎧を着た二人組の後を追ってここまで来た道を引き返すと、あの二人はボクがさっきまで過ごしていた山小屋を調べ始めた。その様子をボクとテンタはこっそりのぞいていた
「うげっ、きたねぇな。血がそこら中に飛び散ってやがる。」
「敗魔症の末期症状だな。……しかし、奇妙だ。死体がない。それにこびりついている血は、すべてかなり前のものだ、完全に乾ききっている。という事はここ最近は血を吐く症状がなかったという事……。」
「魔物に襲われたわけでもねぇようだし、じゃあここにいたガキはどこ行ったんだ?」
「わからん。だがもし……敗魔症を克服して何処かに行ってしまったのだとしたら、それはそれで大事件だ。後日調査隊を派遣してもらおう。俺達では手に負えん問題かもしれん。」
「ま、俺達の専門分野は戦闘だからな。調査は他のやつに任すのが一番だぜ。」
「そうと決まれば引き返すぞ。日が落ちて魔物が活発になる前に町に戻り報告だ。」
「うぃ~。」
他に特に何か調べるわけでもなく、二人はそそくさと来た道を引き返していく。
「ルルア様、奴らの後を追って町へ道案内してもらいましょう。徹底的に利用してやるのですっ!!」
「あ、あはは、わかった。」
未だボクのことをクソガキ呼ばわりしたあの二人を許していない様子のテンタと一緒に、二人の後をつけて町に向かって再び歩き出した。
◇
それから一時間ぐらい歩いて、少し空が赤色になってきた頃……やっと視界の遠くの方に町の建物の灯りが見えてきた。
「や、やっと見えてきた。」
「まったく、外見相応に足取りも鈍い奴らでしたね!!」
「ま、まぁこうやって町も見えてきたし、もう許してあげてもいいんじゃないかな?」
「ぬぐぐ……わかりました。ここはいったん矛を収めておきます。」
あの二人が、町への人の出入りを管理してる関所の兵士の人と話している間に、ボク達は透明になったまま横をすり抜けた。そのまま人気のない路地裏に入ると、テンタが透明化の魔法を解除した。
「ひとまずは潜入成功ですねルルア様。」
「で、でもこれからどうしよう?ボクお金なんて持ってないし、宿にも入れないよ?」
「むっふっふっふ~、ルルア様……お金のことならば心配はありませんよ。」
そう言ってテンタはどこからか豪華な装飾の施された財布を二つ取り出してみせた。それとほぼ同時に表通りの方からさっきの二人の叫び声が聞こえてきた。
「あ…あぁっ!?俺の財布がねぇっ!!」
「お、俺の財布もなくなっている…。」
「まさか、二人そろってあの山に落としてきちまったか!?」
「~~~っ!!さ、探しに行くぞ。あの財布には大事なものが山ほど入ってる!!」
ちらりと声のする方を覗いてみると、さっきのあの二人が鎧をガチャガチャと騒がしく鳴らしながら、町の外へと出て行ってしまった。
その光景を目撃した後に、ボクは恐る恐るテンタに問いかけた。
「あ、あのさぁテンタ?この財布ってもしかして……。」
「もちろんあの愚か者たちの物です!!」
「だ、ダメだよテンタ。人から物を盗んじゃ……。」
「ルルア様にあんなひどい仕打ちをしたのですから、これが当然の報いというものです。さ、私たちの痕跡が残らないように、必要のないものはポイポイしてしまいましょう。」
嬉々としてテンタは財布を開くと、お金以外の身分証などをポイポイと無造作にその辺に捨ててしまった。
「あとはこの財布についた指紋をきれいにして~、これもポイッ!!こんなバカで安っぽい、低俗な輩が好みそうな財布はルルア様には似合いません。」
「あぁっ……。」
お金だけを残して、それ以外のすべてを捨ててしまったテンタは、嬉々としながら町を歩こうと提案してきた。
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