第7話
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意を決してスライムを一口だけ食べてみた。プルプルとした食感で味は特に感じなかった。美味しくない……ってわけじゃなくて、別に食べられる味なんだけど、口に入ってきたスライムがぐにゅぐにゅと動き回ってくるのが本当に不快だった。
喉の奥をぐにゅぐにゅと刺激してくるスライムを何とか飲み込むと、テンタが嬉々としながら味の感想を求めてきた。
「い、如何でしたでしょうかルルア様。」
「う、うん……お、美味しかったよ。で、でももうお腹いっぱいかな。」
「それは何よりでした!!ではこいつは逃がしてやりましょう。」
無造作にテンタは捕まえていたスライムを無造作に藪の方へと放り投げてしまう。
「あのスライム……ちょっと食べちゃったけど、死んじゃったりしない?」
「スライムは核さえ壊されなければ無限に体を再生するので、あの程度で死にはしません。つまり半永久的な食料というわけですね!!」
「そ、そっか。」
ちょ、ちょっと酷いことしちゃったと思ったけど、それなら良かった。でももう食べないかな……。
「よっし、じゃあまた町に向かって歩こうテンタ。」
そしてまた歩き出そうとしたとき……。
「ルルア様、お待ちください。」
「どうしたの?」
「この気配、魔物ではない……人間か?」
ジッとテンタはある方向を見つめて警戒心を強めている。
「ルルア様、何者かが近づいてきていますので一度身を隠します。ステルス。」
そうテンタがまた魔法を唱えると、ボクの体がどんどん透き通っていって、最後には全身すっかり透明になってしまった。
「これで私たちの姿は他の何者かに視認されることはありません。念のため音も消しておきましょう。サイレント。」
次々にテンタが魔法を使うと、ボクたちが下っていた山道の向こう側から、重そうな鎧を装備した騎士のような人が二人、こっちに向かってきているのが見えた。
「あの鎧……見たことある。ボクをここに連れてきた人達が着てたやつだ。」
そうぽつりとつぶやくと、ボクの顔の隣にいたテンタからブチっと何かが切れるような音が聞こえた。
「あの人間どもがルルア様に非道な行いをした張本人……。ルルア様、許可を頂ければ私めがあの愚か者どもを殺してきましょう。」
「だ、大丈夫だよテンタ。多分あの人たちはそういうことをするのがお仕事だったと思うから。」
「ルルア様がそう仰るのなら……今は見逃しましょう。」
そんなやり取りをしていると、こっちに歩いてきていた人たちはボクたちの目の前で足を止めて、何やら話を始めた。
「本当にここでデカい魔力反応があったのか?」
「あぁ、町にあった魔力感知の水晶が壊れる直前に、この場所を映していたから間違いない。」
「でもよ、この山にはあの敗魔症になったガキしかいないぜ?」
「敗魔症になったガキ?」
テンタと一心同体になったから、テンタがめちゃくちゃ怒っているのがボクにも伝わってくる。
「て、テンタ落ち着いて。」
「ぐぅ……わかりました。」
テンタのことを落ち着かせて、またボクたちは会話に聞き耳を立てた。
「あの子供はもうそろそろ死んでいる頃だろう。いくら体質で魔力を生み出しにくいとは言っても、食料も自分じゃ採れないだろうからな。」
「確かにな、ほんじゃあそのデカい魔力反応っつうのは魔物か?」
「恐らくはな。だがこの辺りに強い魔物が生息しているという情報は無い。」
「だから俺らが派遣されたってことか。」
「不測の事態にも対応できるのは、我々聖騎士のみだ。」
「ま、そうだわな。」
「……無駄口はこの辺にしておくぞ。日が落ちる前に確認しなければならないことが山程あるんだからな。」
「へいへい。」
会話をやめると、二人はまた山を登って行ってしまった。
「テンタ、どうする?」
「ここは奴らを利用してやりましょうルルア様、奴らの後を追って行けば、自ずと町に道案内してくれるはずです。」
「わかった。」
そしてボクはテンタと一緒に二人の後を追って、来た道を引き返すのだった。
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