第69話
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ドローアでしばらくの間、平和で何もない日々を過ごしていたんだけど……ボクはこの世界の一部の界隈で少し有名になりすぎてしまったらしい。ボクがドローアにいるっていう情報は、あっという間にその人たちの間で広まってしまっていたようで、今ボクは聖騎士の人に囲まれていた。
「ようやく見つけたぞ抗体01番……ルルア。」
「大人しくついてくれば、痛い目に遭うことはねぇぜ?坊主ぅ。」
今ボクの前に立っているのは、テンタと一つになったあの時……ボクのことを確認に来たあの2人。じりじりとこちらに距離を詰めてくる2人の前にオセさんとアミーさんが立ち塞がる。
「ルルア様、この場はわたくしが納めますわ。」
「アミーの出る幕は無い。この私一人で十分です。」
「情報では、護衛は一人のはずだが……2人に増えているな。」
「関係ねぇ、逆らうやつは全員粛清対象だぜ。」
2人の聖騎士が言葉を発するたびに、テンタの怒りがじわじわと湧き上がってきているのを感じる。今にも戦いが始まりそうになっている最中、テンタとアイ君の話す声が聞こえてきた。
『く……くっくく、よ、ようやくです。ようやく、正当にこのクズどもに制裁を与えられる時が来ましたよぉっ!!』
『て、テンタ。お前怒りながら笑うとは……感情が可笑しなことになっているぞ。』
『これだけ感情がぐちゃぐちゃになるほど、私はこいつらをボコボコにしてやりたかったのです。この世に産まれてきたことを後悔させてやりますよぉっアイッ!!』
そうテンタが意気込んでいた時だった……。
「どけどけどっけ~~~い!!」
そんな声が響くと同時、砂煙を巻き上げながら誰かがこちらに向かって、一直線に走り込んできた。その人は聖騎士の間にぬるりと割り込むとボクの前に立った。その人の顔にボクは見覚えがある。
「やぁやぁ、アタイのお弟子(仮)君?はじめまして~。あいやぁ、ご存知だと思うけど、アタイの名前はククーリ。」
「お、お前はフォクシーのククーリっ!?」
「ククーリだけではないぞ。この私リリララも共にある。」
あとからゆっくりと歩いて、リリララさんとあの時ボク達が魔界で助けた、パールとネレというフォクシーの人達もいた。
「彼の身柄はハンターズギルドが預かります。聖騎士の方々は下がってください。」
「そういうわけだからぁ~、どっかに行ってくれるかな聖騎士クン?アタイはそこの子に話があるんだよねぇ。」
「あぁ?フォクシーだからって調子に乗ってんなぁ?このガキの確保は最上層部からのお達しだぁ。」
乱暴な言葉遣いの聖騎士の人が声を上げると、ぞろぞろと隠れていた聖騎士の人達が姿を現す。ボクを間に挟んで繰り広げられそうになっている戦いに、テンタからブチっと何かが切れた音が聞こえてくる。
『コイツら……私達のことを忘れてませんかねぇ?』
『落ち着いてテンタ。』
『っ、る、ルルア様。申し訳ありません。つい頭に血が上ってしまい……。』
『うん、いいよ。でも、どうやってここから逃げようか。』
『ルルア様の不殺の令に背くことなくこの場を突破するのであれば……全員を気絶させ、その間に魔法でどこかへと飛ぶのが最善かと思われます。』
『でもフォクシーの人達に危害は加えたくないんだ。』
『アイの能力で一時的にフォクシーの動きは止めましょう。できるなアイ?』
『無論。』
ボクが一度瞬きをすると、今度眼を開いた時、アイ君がボクの両目に宿る。
「動くな。」
「「「なっ!?」」」
「こ、これ、あの大きな目の魔物の魔力と同じ……。」
フォクシーの人が動けなくなったところでテンタが魔法を発動し、ボクの姿が大量に複製された。そして、テンタがボクの口を動かして、聖騎士の人達に言い放った。
「殺しはしない……。9割殺してやる。」
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