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触手の恩返し〜あの時助けた触手に今はボクが助けられてます!?〜  作者: しゃむしぇる
第1章 究極生命体爆誕

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65/70

第65話

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 実験体03番を触手で貫いたテンタは、そのまま貫いている触手の形を変えて、体の内側からも実験体03番を貫いてしまう。


「ふんっ、愚かな。勝敗など始めから決まっていた。貴様の洗脳が私達に効かない時点で踵を返せばよかったものを。」


 テンタは貫いた実験体03番を無造作に放り投げて、側に控えていた魔族の人を巻き添えに潰してしまう。


「……やはり創造主は出てこないか。」


 全身血まみれになって動かなくなってしまった、実験体03番のことを見つめて、テンタがポツリと少し悲しそうにつぶやく。


「結局お前も私も、創造主からすればただの消耗品。代わりはいくらでも創られる。恐らくは私の代わりもすでに創られているのだろう?」


 テンタは動かなくなった実験体03番に向かってそう声をかけると、ボク達の頭の中にかすれた声で実験体03番の声が響いてくる。


『ば…かめ。私は創造主様のお気に入り……のはずだ。私のような特殊能力を有した個体は他には……いない。故に、す、すぐに救いにやってくるぞ。』


「歪んだ信仰心だな。では私達はお前が骸となるその瞬間まで、ここで待っていてやろう。仮にもし創造主が現れたなら、創造主に恨みを晴らすいい機会ともなる。」


 そう実験体03番へと向かって言ったあと、テンタはボクの方を振り向いて、ぺこぺこと頭を下げてくる。


「も、申し訳ありませんルルア様。ついつい頭に血が上ってしまい……独断で行動してしまいました。」


「全然いいよテンタ。……ボクも、テンタ達を作った創造主って人に会ってみたいし、待ってみよう。」


「感謝いたしますルルア様。」


 それからしばらくの間、辺りを警戒しながら創造主っていう人が現れるのをその場で待ってみたけど、実験体03番の魔力がもう無くなる寸前になっても、まったく現れる気配がない。


 テンタはこの結果がわかりきっていたようで、もう死ぬ寸前の実験体03番に現実を突きつけるように語り掛けた。


「お前の命の灯が消えるまで秒読みだが……創造主はまだ現れないな。」


『こんな…はずでは……。私は、私は創造主様に愛されて……。』


「死ぬ直前になってもまだ気が付かないとは、つくづく歪んでいる信仰心だな……。いや、現実を受け入れられないが故に、自分自身を慰めようとしているのか?どちらにせよ、これが現実だ実験体03番。寵愛を受けていると思い込み、絶対神のように信仰していた創造主は助けには来ない。」


 テンタがそう現実を突きつけると、潰れた実験体03番の瞼から血が混じった涙のようなものが流れた。


『私は……私の信仰は無駄だったのか?創造主様からの寵愛も錯覚だったのか?』


「あぁ。」


『では私が産まれてきた意味は……なんだ?何のために私は創造主様に創られた?今まで創造主様に身を捧げてきた意味は?…………あぁ、やっとお前の言っていたことが理解できた。』


 最後に実験体03番は大きな瞼を開けて、テンタに貫かれた目でこちらを見つめてきた。


『今はお前が羨ましい。()()()……。』


 その言葉を最後に、実験体03番は再び目を閉じると、体に残っていたわずかな魔力が、急速に吸い取られているかのように無くなっていっているのがわかった。


「これって……。」


「創造主が実験体03番に残る最後の魔力をどこかから吸い取っているようですね。創造主が奴に対して完全に見切りをつけた……そういう事でしょう。」


 チラリとテンタは実験体03番に視線を送った後、ボクの方を向いて頭を下げながらお願いをしてきた。


「ルルア様、差し出がましいのですが、私からのわがままを一つ聞いていただけないでしょうか?」


「うん、わかってるよテンタ。」


 ボクはどんどん魔力が無くなっている実験体03番に近づいて、その血まみれの体にそっと手で触れた。


「感謝いたしますルルア様。では実験体03番の魔力が尽きると同時に、お願いいたします。」


「うん、任せて。」


 そして、吸い取られるように無くなっている魔力が完全に尽きた瞬間に、ボクはテンタと一緒に魔法を唱えた。


「「ヒール!!」」


 

この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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