第64話
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ククーリさんの仲間の人達の前に割って入ると、ボクは少し顔を傾けて後ろに視線を送った。すると目をぎゅっとつぶりながら、修道服を身にまとった人が声を上げる
「だ、誰っ!?」
その声に対して、ボクの腰から生えていたテンタが反応した。
「今はお前たちの味方だ。この場は預かってやる。とっとと地上に帰れ。」
「で、でも……。」
その人たちは、テンタの言葉を素直に受け入れられない様子だったけど、それがどうしてなのかをテンタは見抜いていた。
「ククーリはもうすでに地上で保護している。」
「っ!!く、ククーリのこと知ってるの!?」
「……うだうだ会話を続けるつもりはない。私達を信用するなら今すぐに地上に帰れ。戦いの邪魔だ。」
「~~~っ、パールっ!!行くよっ!!」
「ね、ネレ。ほ、本当にいいの!?」
「どっちにしろ、ここにいたら殺されるわ。」
ボクの後ろで抱き合った2人は、金色に輝く大きな結晶を取り出して天に掲げた。そして二人同時に呪文を唱える。
「「テレポート!!」」
その次の瞬間、2人は大きな魔法陣から放たれた光に飲まれて消えてしまった。
「ルルア様あの者たちは地上に帰りました。後は実験体03番の対応に移りましょう。」
「わ、わかった。」
改めて実験体03番っていう大きな目玉の方に向き直って、視線を合わせてみると、少し胸が締め付けられるような感覚に襲われる。
「ちょっとだけ胸が苦しいかも。」
「奴がこちらを洗脳しようとしてきている証拠です。オセ、間違ってもお前は目を開けないように。」
「りょ、了解しました。」
オセさんにテンタが釘を刺すように言った直後、テンタと頭の中で会話しているように、ボクの頭の中に声が響いてきた。
『ずいぶんと姿が変わったな実験体06番。あの人間どもにやられたんじゃなかったのか?』
そうボクの頭の中に直接語り掛けてきてるのは、目の前にいる実験体03番で間違いなさそう。
「あぁその通りだ。だが、私はこの御方に命を助けられた。」
『せっかく命が助かったのなら、なぜ創造主様の元へすぐに駆けつけない?我々は、創造主様によって創られた。故に創造主様に迫る危険を排除するために存在しているのだ。』
その質問に対して、テンタは嫌悪感を露わにしながら答える。
「ほんっ……とうに、くだらない。私という存在を創れと願ったわけでもないのに、勝手に不完全体として創り出され、挙句の果てには、自身の身代わりのために捨て駒にされる……。そんな身勝手な輩に下げる頭は無いッ!!私が頭を下げ、媚び諂い、最も尊い存在として敬い、どんな命にでも喜んで従うのは、私の命をこの世に繋ぎとめてくださったルルア様のみだ!!」
最初の方は、自分を作った創造主っていう人に対しての愚痴みたいな感じだったけど、最後の方はボクのことを褒めてた?のかな。なんかちょっとだけ恥ずかしくなった。
『創造主様に反旗を翻す……そういう事だな?』
「それは貴様らの態度次第だ。今すぐ回れ右して創造主のところに帰るのなら……見逃してやってもいい。」
『見逃してやってもいいとは、ずいぶん上から目線だな。実験体06番。』
「それと、いい加減その実験体06番という呼び方はやめてもらおう。私はルルア様からテンタという素晴らしい名前をもらったのだ。」
『それこそくだらない。創造主様に与えられた実験体06番という名こそがお前の真の名だ。』
その言葉を聞いた瞬間、テンタからブチッと何かが切れる音と共に、ものすごい怒りが湧き出してくるのを感じた。
「たった今決めた。お前は殺す。ルルア様より賜ったこの名を愚弄した罪は、死以外では償えない。」
『失敗作のお前が私に勝てるわけが無……。』
その声が響いてきている途中で、テンタはボクの体から伸ばした触手で、実験体03番の大きな目玉を串刺しにしてしまっていた。
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