第62話
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落下している感覚が無くなって、自然にぎゅっと閉じていた目を開けると、ボク達はいつの間にか紫色の地面の上に立っていた。
「到着いたしましたルルア様。ここが地下の世界……魔族の世界、所謂魔界と呼称される場所でございます。」
「魔界……なんか空気が重い感じがする。」
「それは恐らく、空気中に含まれる魔素の濃度が地上の世界とは全く違うからかと思われます。このねっとりと空気が肌に纏わりついてくる感覚……なんと言いますか、戻ってきたという感じがいたします。」
ボクの腰から生えているテンタは、すごく嫌そうに言った。
「魔界に来たのは良いけど、ここからどうやってククーリさんの仲間を探そうか。何か手掛かりがあればいいんだけど……。」
「虱潰しに、周辺の魔族を尋問し情報を聞き出すのが最も確実かと……。人間がこの世界に足を踏み入れているという情報は恐らく広まっているでしょうし、知っている輩も多いと思われます。」
「わかった。」
「ではオセ、近くの集落へ道案内を。」
「かしこまりましたっ!!」
びしっとオセさんは敬礼すると、ボクたちのことを導くように歩き始めた。しかし、何歩か進んだあとにすぐに足を止めた。
「あれ、どうしたんですか?」
「申し訳ありませんルルア様、私の陰湿なストーカーが近づいてきているようです。」
「え?ストーカー?」
疑問に思っていたのも束の間、オセさんの目の前に大きな火柱が突然噴き出してきた。その炎の中から真っ赤な髪の毛の女性が小さな鬼のような魔物と一緒に姿を現す。
「あら、帰ってきたんですのねぇオセ?地上への攻撃はどうなったのかしらぁ?」
「アミー、アンタには関係ないでしょ。」
「大ありよ。あなたが地上の攻撃に失敗しておめおめと逃げ帰ってきたってなれば、その57番目の席をわたくしが頂く理由にもなりますからねぇ?」
不敵に笑いながらそう言ったアミーという魔族の女性は、じっとオセさんの目を見つめている。しかしオセさんはそんな言葉をまったく気にしていないようで、一つ溜息を吐いてからきっぱりと言い放った。
「57番目の席が欲しければ勝手に奪えばいいじゃん。私はもうそんなものに興味は無いからさ。」
「へぇ?あんなに野心家だったのに、ずいぶんと丸くなったものですわね。そこにいる弱そうな魔族も、それと何か関係があるのかしら?」
アミーという人がそう言葉を発した後、ボクの腰から生えていたテンタから、ブチっと何かが切れた音が聞こえてきて、すさまじく怒っているのが伝わってきた。
「弱そうな魔族?ただの魔族風情が、本当によく吠える。」
「はぁ?ただの魔族ですって?わたくしは高貴なる72柱の1柱ですわよ?まさか、このわたくしの事すらも知らない田舎者じゃないでしょうねぇ?」
「貴様のような雑魚は知らん。まずはその喧しい口を閉じろ。」
テンタがそう言った直後、彼女の口がピタッと閉じて自分の意志では開けられなくなったようだ。
「〜〜〜っ!?」
口が開かなくなったことに驚きながらも、彼女はボクの方に手を向けて、魔法陣を出現させた。しかしその魔法陣は、瞬く間に透けていき、パッと消えてなくなってしまう。
「平伏しろ。」
またテンタが命令すると、彼女の体はその言葉に逆らえないようで、激しく頭を地面に叩きつけながら、ボクに向かって伏した。
「今から貴様に質問をする。1つでも嘘を吐いたら、即……殺す。」
オセさんがガクガクと膝を震わせるほど、強烈な殺気を放ちながらテンタは彼女の事を脅し、ククーリさんの仲間の人たちのことについて質問を始めた。
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