第57話
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それから少しすると、1階からあの女の人が埃まみれになりながら戻ってきた。
「ゴホッ……まったく、やってくれたな。」
咳き込みながら、彼女はボクに向かってまた剣を向けてくる。その剣を下げるように促すため、ダンさんが剣の上に手を置いた。
「リリララ、そこまでにしてくれ。これ以上は怪我人が出る。」
「……ついつい熱が入ってしまった。私の悪いクセだな。」
一つ大きく息を吐きながら、リリララと呼ばれた女の人は腰に差していた鞘に剣を納めた。そしてボクの方に歩み寄ってくると、こちらに手を差し出して握手を求めてくる。
「先ほどはすまなかった。同じ任務に同行する者の実力は把握しておきたかったんだ。」
「え、同じ任務?」
「ん?ダンから聞いていないのか?ククーリとの通信途絶の調査に私も一緒に向かうことになったのだよ。」
「す、すまないルータ君。リリララと連絡がついたのは昨日の深夜でな……キミはきっと寝ているだろうと思って連絡していなかったんだ。」
「そういうことだったんですか……。」
納得していると、リリララさんに右手をぎゅっと握られた。
「というわけで、私の名はリリララ。気軽にララと呼んでくれ。今回の任務はよろしく頼む。」
「ルータです。よろしくお願いします。」
お互いに自己紹介を終えた後、ダンさんが1枚の紙を手にしながらリリララさんに歩み寄った。
「お互いに自己紹介が終わったところで……リリララ、これ請求書な。」
「な、何の請求書だ!?私は何もしてな…………。」
弁明するリリララさんの前で、ダンさんは部屋に開いた大穴を指差した。
「い、いや、アレは……。」
「元はといえば、お前から吹っかけた喧嘩だ。責任はお前にある。」
「ぐ……ただでさえ金欠だというのに、これで私の財布はまた軽くなってしまうぞ。」
「自業自得だ。」
リリララさんが請求書を手に、ガックリと落ち込んでいると、今度はボクの方にダンさんは視線を向けた。
「ルータ君、キミにはこれを渡しておく。」
「これは……地下への通行許可証?」
「あぁ、地下へと向かえるのは国から許可を得た者だけなんだ。それはキミの分、リリララにはもう渡してある。地下への穴がある町ムーアに着いたら、それを見せてククーリの調査を開始してくれ。」
「わかりました。」
「それと、もう一つこれを渡しておく。」
さらに続けてダンさんは、小さな魔障石のようなものをボクに渡してきた。
「これは地下の魔素と地上の魔素を混ぜて作った特注の通信石だ。これがあれば地下にいても地上と通信ができる。残念ながら素材が足りなくて一つ分しかないからこれはキミに渡しておく。」
「なぜ私じゃなくてルータ君にそんな大事なものを預けるんだ?どう考えても大人である私では!?」
「お前は自分の普段からの行いを胸に手を当てて考えてみろ。どう考えてもお前には持たせられない。」
「ぐぅ……。」
ダンさんにそう突っぱねられると、またしてもリリララさんはがっくりと肩を落とした。
「じゃあそういう事で、ルータ君……リリララの面倒は頼んだぞ。こいつが暴走したら止めてやってくれ。」
「えぇ……。」
かくして、ボクはリリララさんと共に地下の世界に行って、ククーリさんの行方を探すことになったのだった。
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