第56話
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ダンさんから連絡があった翌日、ボクは一人でギルドにやってきていた。正確にはテンタと2人なんだけど……今回流石にオセさんを連れてくると、揉め事が起こりそうだったから、オセさんはテンタが作った異空間ってところで待機してもらってる。
ギルドの階段を上がって、2階に着くと急に空気がピン……と張りつめているのを感じた。
「なんだろ?空気が変?」
『ルルア様、何者かがこちらに向かって殺気を放っています。あの扉の向こうにいるようです。』
「ど、どうしよう?」
『一先ず泳がせておきましょうか、敵意を剝き出しにして襲い掛かってくるようならば無力化しますので。』
「わかった。」
そのままボクがダンさんの部屋のドアノブに手をかけると、扉を突き破って銀色の刃が飛び出してきた。
「わっ!?」
驚きながらもボクの体はテンタによって操られて、その剣を後ろに跳んで躱すと、両手を前に突き出した。
『無礼者には……戒めの罰を。激流槍。』
テンタが代わりに魔法の詠唱をしてくれると、ボクの両手の前に魔法陣が現れて、そこから大きな水の槍が扉を破壊しながら部屋の中に飛び込んでいく。
「わーーーっ!!ストップストップだっ!!」
悲鳴にも似たダンさんの声を無視して、ボクの体は短剣を手にしながら部屋の中にいた銀色の髪の女性に切りかかる。
「ふっ、そのなりでなかなかどうして好戦的なのだな。」
「いきなり襲い掛かってきたのはそっちです。」
「最近フォクシーに入ったやつがどんな腕前なのかを確かめたかっただけなんだが……まぁせっかくだし、このまま剣の腕前も見せてもらおうかなっ!!」
そのまま、ボクはその女の人と激しい斬りあいになだれ込む。テンタがトレースククーリを使ってくれてるおかげで、手数はボクの方が多くて、徐々に押していける。
「おぉ、魔法が取り柄かと思えば、近接もなかなかイケると……。くふふふ、良いぞ面白いっ!!」
「っ!!」
女の人の目が突然赤く光ると、急に打ち合いの力が強くなって、今度はボクの方が押され始めた。その様子を見てテンタが何かを確信したように呟いた。
『この女……まさか狂化の呪いを自分にかけているのか?』
『な、なんなのそれ?』
『自分の身体能力以上のパワーとスピードを引き出すことのできる呪いです。』
『そ、そんなの呪いじゃなくない!?』
『その代わり、呪いの効果が発動すると、限界負荷を超えて体を動かすことになりますので、筋肉や骨が砕けたりといった副作用が発生いたしますね。』
『やっぱりちゃんと呪いだった。』
そんな会話を頭の中でしているうちに、どんどんボクの方に剣が迫ってくる。
『ふむ、生意気にも剣の圧力は凄まじい……。ならば、そんな代償のある狂化をも上回る魔法を見せてやりましょう。』
そうテンタが頭の中で言った瞬間、ボクの体のいたるところに魔法陣が展開された。
『筋力強化、動体視力強化、腕力強化、脚力強化……さらに重ね掛けで全身体能力強化。』
テンタが次々に頭の中で魔法を唱えた次の瞬間、突然目の前の女の人の動きがコマ送りのようにゆっくりに見えるようになった。
『あれ……これって何が起こって?』
『ルルア様の身体能力を限界を超えて強化いたしました。後はこの鈍い攻撃を避けて、軽く足でも払って転ばせてやりましょう。』
『わかった。』
ゆっくりと動く剣を避けて、彼女の足を軽く払った。その瞬間、ボクの見ている景色の速度が元に戻っていく。
「なっ!?あぁぁぁぁっ!?」
「あっ。」
全ての速度が元に戻ると、ボクが足払いをかけた女の人は、勢いよく壁を破って外に落ちていってしまった。
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