第51話
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テンタは紫色の亀裂の中に入っていくと、すぐに紫色に輝く変な石を絡めとって戻ってきた。その直後、紫色の亀裂が徐々に元に戻っていく。
「ルルア様、どうやらこの魔障石が悪さをしていたようです。」
「それ何なの?」
「これは、地下の世界に満ちる魔素を人工的に濃縮し、世界の理を一時的に阻害できるようにしたものです。自然にできるような代物ではございません。」
「えっと、じゃあ誰かがここに持ってきたってこと?」
「はい、間違いございません。」
「でもここにはボクたち以外に誰もいないけど……もうどこかに出ていっちゃったのかな?」
「いえ、この穴を開けた犯人は、どうやら力を使い果たしているらしく、この魔障石の中で力を蓄えているようです。」
テンタが絡めとっている魔障石をよ~く見てみると、石の中に人影のようなものが見える。
「じゃあこれ、どうしよう?」
「破壊するのが最も得策かと思われます。」
「でも破壊しちゃったら、この人も死んじゃうんだよね?」
「はい。」
「な、何か別の方法とかってない?まだこの人は誰も傷つけてないし……こ、殺さなくてもいいと思うんだよ。」
「それでは封印しましょう。封印であればルルア様と私が存命の間は、この魔族も二度と出てくることができなくなります。」
「うん、それなら……まだいいかな。」
するとテンタはすぐに魔障石に向かって魔法を使うと、魔障石に黒い鎖のようなものが巻きついていく。
「封印完了いたしましたルルア様っ!!」
「うん、ボクのわがままを聞いてくれてありがとうテンタ。」
「とんでもございませんっ!!すべてはルルア様のお望みのままに……。」
ボクに向かってテンタがぺこりと深く頭を下げてくると、それを見ていたオセさんも慌てて頭を下げた。
そして魔障石を封印した後、それを収納魔法でしまって、オセさんが倒してくれた魔物を片付けながらボクたちはギルドに戻った。
「は、へっ!?も、もうお戻りですかぁ!?」
ギルドに戻ってくると、1階でイアさんが書類作業をしていた。イアさんと同じ席にボクとオセさんも腰かけると、早速地底湖で起こっていたことについて報告した。
すると、ボクの報告を聞いたイアさんは難しい表情になってしまう。
「地底湖の最奥に地下世界と繋がる穴があったんですかぁ。だから強い魔物が湧き出ていたんですねぇ。それにしてもこれだけ長期間、地下と繋がる穴が開いていたなんて、前例のない事態ですよぉ。」
そう呟きながら、イアさんはサラサラとボクの話をメモしていく。
「実は今まで穴がずっと開きっぱなしになっていたのには理由があって……その話はここじゃちょっと。」
「わかりましたぁ、では少し場所を変えましょう。」
そしてイアさんはボクたちのことを2階の部屋に案内してくれた。しっかりとイアさんが扉を閉めたところで、ボクは収納魔法でしまっていたあの魔障石を取り出した。
「穴が今までずっと空いていたのはこれが原因だったんです。」
「これは……魔障石ですねぇ。なるほど、そういう事でしたかぁ。」
「イアさんもこれを知ってるんですか?」
「一度王都でこんな小さいものを博物館で見たのと、古い文献で少し読んだことがあるだけですがぁ……。確かこれは世界の理を中和する効果があるとか?」
「ボクも詳しくは知らないんですけど、そうみたいですね。」
イアさんは、魔障石をじっと観察していると中に人影があることに気が付く。
「ん?この中に人影みたいなのが……。」
「あ、それが穴を開けた張本人みたいです。穴を開けるのに力を使い果たしてその中で眠ってるんですけど……目が覚める前にボクが封印しておきました。」
「ふ、封印って……ルータ君、簡単に言いますねぇ。封印魔法なんてこの国で使える人はほんの数人しかいないはずなんですけどぉ。」
もはや呆れ顔でそう呟くイアさんに、ボクはこの魔障石を預けることにしたのだった。きっとイアさんなら、これをちゃんと管理してくれると思う。
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