第50話
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ガーイーの町を出て、湖のさらに奥に向かって進んでいると、人気が無くなったことを確認して、テンタがにゅるりと姿を現した。
「ルルア様、その地底湖で急に魔物が発生した……という事案に関してですが、少々お気をつけになられたほうが良いかと。」
「どうして?」
「地下から魔物が湧き出す……コレは先日あのトレンチという町で起こった、地下の世界と一時的につながる現象と酷似しております。」
「……確かに、地下から魔物が湧き出すってそういうことだよね。」
納得していると、テンタはオセさんにあることを問いかける。
「オセ、直近で地上と繋がった現象に心当たりは?」
「私が地上に出てくる前に……って事ですよね?それだと……確か3ヶ月ぐらい前に、大きな穴が一度開いたって話は聞きました。」
「それの更に前は?」
「え、えっと、それより前は私……まだ名前のない中級魔族で、穴の情報が全く回ってこなくて……。」
「つまり知らないと?」
「は、はい……。」
ふん……とため息のようなものをテンタは漏らすと、今度はボクの方を向いてきた。
「ルルア様、仮にもし穴が開いていて……しかも長期間存在しているものだった場合、世界の理に反して少しずつ広がり続けている可能性があります。」
テンタが言いたいことは良くわかった。つまり、それを放っておくと……。
「今は魔物だけでも、いずれ穴が大きくなったら、オセさんみたいに魔族がでてくるかもしれない……ってことだよね?」
「その通りです。」
「じゃあ…………どうすれば良いの?」
「もし世界の理に反して穴が広がり続けている場合、その原因となるものがあるはずですので、それを取り除けば穴は元にもどります。」
「わかった。」
そんな話をしながら歩いていると、地底湖につながっている洞窟が目前に見えてきた。
そこに近づいた瞬間……ボクは冷たい嫌な感じの気配を洞窟の中から感じ取る。
「この感じ……あの時と同じかも。」
「濃密な魔素が溢れ出しておりますね。予想が当たっているとみて間違いないかと思われます。……オセ、先頭を進みルルア様の障害となる魔物を掃討しなさい。」
「承知しましたテンタ様!!」
そしてオセさんは先に一人、洞窟の中に入っていく……直後、洞窟の中からドンドンと爆発するような音がここまで響いてきた。
「ルルア様、我々も参りましょう。」
「う、うん。」
テンタに促されて、オセさんが入っていった洞窟の中に足を踏み入れてみると……そこには幻想的な景色が広がっていた。
「うわ……すごい綺麗な色の水。」
洞窟に入ってすぐに、整備された道の脇に青緑色の澄んだ水が溜まっている。きっとこの不思議な色の水を見に、たくさんの人が今までは来ていたんだと思う。
「本来であればもう少しゆっくりと、この不可思議な景色を楽しみたかったところですねルルア様。」
「うん。ここの異変を解決したら、後でゆっくり見に来ようね。」
テンタとそんな約束をして、ボクは道に沿って先に進んだ。すると地底湖の最奥まで来て、ようやくオセさんの姿を見つけることができた。
「あっ、ルルア様、テンタ様っ!!道を塞いでいた魔物は全て排除しておきました。」
「ありがとうございますオセさん。」
「お、お褒めにあずかり光栄です。」
「それで、穴は見つけましたか?」
「穴なら多分あれだと思われますっ。」
そう言ってオセさんが指さした先の壁面には、大きな紫色の亀裂が入っていた。それの向こう側を覗くようにテンタは体を伸ばすと、何かに気づいたようだ。
「なるほど、そういう事でしたか。」
ぽつりと呟くと、テンタは体を伸ばしてその亀裂の中に入っていってしまった。
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