第47話
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気持ちよく眠っていると、不意に優しく体を揺さぶられた。
「失礼致しますルルア様、夕刻になりました。」
「ん……んんっ、ありがと。」
目をこすりながら窓の外を見てみると、すっかり茜色に空が染まってきている。イアさんとの待ち合わせの時間に丁度いいかな。
「ふぁ〜っ、じゃあギルドに行ってみよっかテンタ。」
「はいっ、ルルア様!!」
軽く寝癖を直してから宿屋出て、ボクはギルドに一直線に向かった。その道中……昼間にはなかった屋台がたくさん大通りに出ていた事に気がつく。
「あれ、屋台がいっぱい出てる。」
『なになら食べ物もたくさん売っているようですね。』
『ねっ、ちょうどお腹空いてるし、何か買っていこうかな。』
ギルドの近くにあった屋台で、フィッシュアンドチップスっていう、お魚とじゃが芋を油で揚げた料理を購入して、それを食べながらギルドに入った。
「あっ、る、ルータ君。来てくれましたねぇ。」
「こんばんはイアさん。」
昨日来た時と違って、ギルドの中にはイアさんと何人か受付の人しかいなかった。
ボクはイアさんと同じテーブルの椅子に腰掛けると、早速イアさんが何かを取り出すべく腰のポーチに手を入れた。
「じ、実はルータ君にコレを渡したかったんです。」
そして取り出したのは、黒縁の眼鏡だった。
「これは?」
「コレは鑑定の眼鏡ってマジックアイテムで、今回の釣り大会の優勝賞品でしたぁ。」
「ってことは……イアさんが優勝したんですね?おめでとうございます。」
「あ、ありがとうございます〜。……じゃ、じゃなくて、今回私が優勝できたのは他でもないルータ君のおかげなので、コレを受け取って欲しいんです。」
「そんな別に良いですよ。ボクも十分楽しめましたから。」
「で、でもですよぉ、ルータ君は水竜を倒してくれましたぁ。その報酬もあげたいですし、そもそもアレがちゃんと計測されていれば、ルータ君の優勝だったんですよ。」
イアさんは頑として、ボクに鑑定の眼鏡っていうマジックアイテムを渡したいと言って引かない。
「ですから、私……ルータ君の判定に納得できなくて、あのあと大会の運営委員会の一番偉い人とお話してきたんです〜。」
「え?」
「しっかりとお話したらぁ、来年からの釣り大会では湖にいる魔物を釣り竿で釣り上げても、それが計測されるようになるそうです〜。」
ぱぁっと笑顔でイアさんは、とんでもないことを言った。
「も、尤も、そんな事ができるのはごく一部の人間だけですけどぉ……。そういうルールがあってもいいと思ったんです〜。」
そう話しながら、さり気なくイアさんはボクにその眼鏡をきゅっと握らせてきた。
「ですから……もらってくれませんかぁ?」
「イアさんがそこまで言うなら……分かりました。」
このままだと、イアさんはボクが眼鏡を受け取るまで帰してくれなさそう……。だからボクは、大人しくその眼鏡を受け取って服のポケットの中に入れた。
「えへへ、ありがとうございます〜。それ、私が持っていてもあまり意味がないんですよぉ。」
「それはどういう事ですか?」
そう問いかけると、イアさんは自分の目を指差した。
「ルータ君も気づいているかもしれませんけどぉ、私のこの目……魔眼なんですよぉ。あ、あんまり強い魔眼じゃなくて、ただ人や物のことを詳しく見れるだけの魔眼なんです。」
「そうだったんですか……。」
「だから私にはその眼鏡は必要ないんです。だから、ルータ君が使ってください〜。」
「分かりました、ありがとうございます。」
そして鑑定の眼鏡を受け取った後、今度イアさんはテーブルの上にじゃらりと音が鳴る皮袋を置く。
「こ、今度はぁ水竜の討伐報酬のお話になるんですけどぉ〜。まだお時間大丈夫ですかぁ?」
結局、水竜の討伐報酬は全額ダンさんのギルドに寄付してもらって、復旧作業の費用に充ててもらうようにお願いしたのだった。
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