第46話
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イアさんの計測が終わって、今度はいよいよボクの番が回ってきた。計測してくれる人は、今朝受付をしてくれたあの元気なお姉さんだった。
「おっ、キミは今朝受付してくれた坊やだね?大きいお魚は釣れたかな~?」
「え、えっと……一応、はい。」
「それじゃあお姉さんに見せてくれる?」
そう言って、お姉さんはポンポンと目の前の台を手で叩いた。でもボクが釣ったお魚(?)はここには……。
「あ、あのこの台の上に多分乗らないと思うんです。」
「え?ほ、本当に?」
「はい……。」
その言葉で会場に集まっていた観客の人達がざわざわとざわめき始める。
「じゃ、じゃあ一回そこの地面に出してみてくれる?」
「わかりました。」
ボクは収納魔法でしまっていた、あのお魚(?)を取り出した。
「よいしょっ!!」
それを地面に置いた瞬間、ぐらっと辺りが揺れた。それと同時に、計測を心待ちにしていた観客の人達のざわめきもシン……と静まり返ってしまう。
「あ、あの、こ、これはなにかな?お、お姉さんにはす、水竜のようにも見えるんだけど……。」
「ぼ、ボクの釣ったお魚です。」
そう、悩みに悩んだテンタが湖から引っ張り出してきたのは、魚と呼ぶにはあまりにもかけ離れた見た目をした、水竜という魔物だった。
みんなが唖然としている最中、イアさんがその水竜を見つめて、一つ言葉を漏らした。
「この子はぁ……昨年から湖の生態系を荒らしまわっていた水竜に間違いないですねぇ~。ハンターズギルドにも討伐依頼が漁師さんから何件も届いてましたぁ。でも、湖の中で戦うしかないのでなかなか討伐を買って出る人がいなかったんですよぉ。」
そう説明しながら、イアさんは受付のお姉さんに一つ質問を投げかけた。
「受付さん、これはどういう扱いになるんですかぁ?」
「え、えっと、原則上、計測ができるのは魚だけですので……と、とてもすごいものですが、これはちょっと……。」
「……そうですかぁ。」
なぜかボク以上に残念そうにイアさんは表情を暗くした。
「ではこの水竜は一度私が引き取りますねぇ。」
イアさんは腰に着けた小さなポーチの中に水竜をしまってしまう。そしてゆっくりとボクの方を向いた。
「ルータ君、面倒じゃなければ後でまたギルドに顔を出してくれませんかぁ?」
「え、あ、はい。」
「多分お祭りも夕方には終わっていると思うのでぇ、そのぐらいの時間にお願いしますねぇ。」
「わかりました。」
そしてボクが会場を後にしようとすると、集まっていた観客の人達の中から声が上がる。
「坊主~っ!!水竜を倒してくれてありがとよーっ!!」
「これで安心して漁ができるぜ!!ありがとな~!!」
「……。」
そんな声をあげた人たちに、ボクはペコリとお辞儀をしてから会場を後にして、部屋を借りている宿屋に戻った。
「ぷはっ、人混み疲れたぁ。」
ベッドにぼふっと倒れ込むと、ボクの前に申し訳なさそうにしながらテンタが出てきた。
「ルルア様、申し訳ありませんでした。私の力が及ばず……このような屈辱的な結果になってしまい。」
「ん?気にすることないよテンタ。だって楽しかったから。」
「で、ですが優勝は……。」
「そんなのはいいの。楽しかったらそれでいいんだよ。」
必死にぺこぺこと謝ってくるテンタの体を抱き枕代わりにぎゅっと抱きしめながらそう言うと、テンタは大量の粘液を表面から放出してしまう。
「うぅぅぅ……ルルア様の慈悲深さに感謝いたしますぅぅぅ!!」
「わ、わかったから、あんまり粘液出さないの。ベッドが汚れちゃうよ。」
テンタの独特な感触の体を抱きしめていると、急に眠気が襲い掛かってきた。
「ふぁ……んん、テンタ、夕方になったら起こしてくれる?」
「お任せくださいっ!!」
「じゃあお願いね。」
テンタにそうお願いして目を閉じると、ボクの意識はすぐに深い眠りに落ちていった。
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