第44話
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「お、お腹いっぱいです……ご馳走になりましたルータ君。」
ポッコリとお腹を膨らませたイアさんがボクにぺこっと頭を下げてくる。
「あ、あの、差し出がましいお願いなのは重々承知の上なのですが……よ、良かったら私も隣で釣りをしても良いですかぁ?」
「いいですよ。あんまりいい場所じゃないかもしれないですけど……。」
「いえっ、さっきもルータ君は大きめのお魚を釣っていましたし……き、きっとここは良い釣り場のはずです!!」
そう言ってイアさんは地面を掘り返して、ミミズのような生き物を捕まえるとそれを針につけて湖に向かって放り投げた。
「ふ、ふふ……あとはじっくりと待つだけですねぇ。」
イアさんは近くの倒木に腰掛けると、スッと目を閉じた。するとすぐにすやすやと寝息を立て始めてしまった。
「ね、寝ちゃった?」
「もともと身体的にかなり疲労していたようです。私の見立てでは、数日間不眠不休で体を酷使していたものと思われます。」
イアさんが寝たことを確認して、テンタは透明化を解除して現れた。
「もともとの疲労困憊の肉体に、私が眠りに落ちる魔法をかけさせていただきました。永遠に眠らせることもできましたが、ルルア様に人間の殺生は禁じられておりましたので。」
「そうだったんだ。でも、なんで眠らせちゃったの?」
「この女が疲労困憊になるまで何をしていたのかは定かではありませんが、眠らせるのがもう少し遅ければ、ルルア様の目の前でこの女が死んでしまうところでした。」
「えぇ!?つ、疲れすぎで死んじゃうの!?」
「いえ、疲労は眠れば治りますが、何やら妙な毒素に体を侵されているようです。いかがいたしますかルルア様。」
「テンタなら助けれるの?」
「回復魔法を極めた私であれば可能です。」
「うん、じゃあ助けてあげてほしいな。」
「承知いたしました。」
すると、テンタはボクの体から触手を伸ばして、イアさんの口の中にずるりと入っていく。すると、触手をポコポコと膨らませて、イアさんに何かを送り込んでいった。
「……テンタ、ちなみに今何してるの?」
「体内で合成した解毒薬を流し込んでいます。この女の体に溜まっている毒素は少々特殊なようでして……。」
そう説明しながらテンタはイアさんの体の中に入っていた触手を引き抜いた。その触手の先端には、紫色の丸いビー玉のようなものがついてきている。
「これがこの女の体に溜まっていた毒素でございます。」
「それ触っても大丈夫なの?」
「私たちには何も問題ございません。そもそも毒というものがルルア様と私には効きませんので。」
「じ、自分の体のことだけどそうなんだね。」
「ただ、私達には効かなくてもこの女に対しては、かなりの効力を発揮していた模様です。」
「……どうしてイアさんは毒を受けちゃったんだろ。」
「それには幾つか仮説が立てられます。まずこの毒は自然のものではないようです。ですから、他の何者かがこの女を殺そうとしていた……。もしくは自分で毒を飲んでいたか……。こんなところでしょうか?」
「自分で毒を飲むのはちょっと考えられないよね。」
「となると、残る濃厚な可能性は何者かが毒を飲ませていた……となりますね。」
誰かがイアさんを殺そうとしてた……でも誰が?とても誰かに恨まれるような人には見えないけど……。
「まぁ、ひとまず毒は残らず取り除いておきましたので、これで死ぬことはないでしょう。」
「ありがとねテンタ。」
お願いを聞いてくれたテンタの頭を撫でていると、イアさんの釣り竿がグンッと湖の方に引き寄せられていく。
「あっ!?」
咄嗟に釣り竿を手にとって、釣り糸を巻き上げてみると結構大きな魚が釣れていた。
「あれ、このお魚……さっきテンタに取ってもらったやつよりもおっきいかも?」
「ぐ、ぐぬぬ……しょ、少々お待ちくださいルルア様っ!!早急にデカい魚を捕まえて参ります!!」
そしてまたテンタは湖の中に潜っていって、大きなお魚を探し始めてくれた。
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