第41話
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こちらをじっと見つめていたイアさんは、目を細めながらぽつりと呟いた。
「どうしてでしょうかぁ……あなたと話していると、もう一人誰かほかの人と話しているような感じがしてなりません。」
「へっ?」
「上手くは言えないのですがぁ、ルータ君の隣に……いえ、なんなら内側にもう一人誰か他の人がいるような、不思議な感覚ですねぇ。」
青く輝く目でこちらを見つめながら、イアさんはまた無意識にお茶を口にしようとしたけど、もうカップの中のお茶は無くなっていた。
「あ、お茶が……。」
お茶が無くなったことに気が付くと、イアさんの目の輝きは急激に失われていって、初めて出会った時と同じ目に戻った。
「は、はわわ、私……何か失礼なことしてないですかぁ!?は、ハーブティーを飲むと、変に落ち着いちゃって、たまに変なこと言っちゃうんです。」
「だ、大丈夫ですよ。」
必死に取り繕っているイアさんの前で、ボクもお茶を全部飲み干してカップをテーブルの上に戻した。
「あの、お茶凄く美味しかったです。ご馳走様でした。この後予定があるので、この辺で失礼します。」
「あ、お、お引止めして申し訳ありませんでしたぁ。もしこの町で何か困りごとがあったら、お、お気軽に相談してくださいねぇ。」
「はいっ、その時はよろしくお願いします。」
そしてお茶を飲むために外していた狐のお面を被り直して、ボクは足早にギルドを後にした。ギルドを出てからすぐに人気のない路地に入って、お面を脱ぐとテンタが頭の中に話しかけてきた。
『ルルア様、早急な退席のご判断ありがとうございます。』
『うぅん、大丈夫。』
『まさか、魔眼持ちの人間がいるとは……全く予想外でございました。』
『あのイアさんの急に青く光った目が魔眼なんだよね?』
『おそらくは……どういう効果かは判別できませんでしたが、幸いだったことに私たちに危害を加えられるような強力なものではなかったようです。』
『魔眼って危険なやつもあるの?』
『私が知るものでは、目を合わせた瞬間に相手を石にしてしまう魔眼や、自分よりも弱い者を睨みつけただけで即死させる魔眼などがありますね。』
『目を合わせただけで死んじゃうんだ……魔眼って怖いかも。』
テンタが知っている魔眼が特別、怖い効果を持ってるから魔眼が怖く感じてしまう。
『ご安心ください。世の中には眼には眼をという言葉があるように、魔眼には魔眼で対処すればよいだけのことです!!』
『……でもボク魔眼なんて持ってないよ?』
『ふっふっふ、その点もご安心ください。』
周りに人がいない事を確認して、テンタはボクの肩からにゅるりと出てきた。すると、そのテンタにはぎょろりと普段は無いピンク色の目がついていた。
「え、それどうなってるの?」
「ルルア様、これは私が地下の世にいた時に、愚かにも戦いを挑んできた者たちから奪い、我が物とした魔眼でございます。」
「……目をくり抜いたってこと?」
「いえ、そうではありません。魔眼とは一種の呪いのような物で、魔眼の性能だけを奪うこともやり方によっては可能なのです。」
「そ、そうなんだ。」
魔眼を奪う方法が残酷な方法じゃなくて、ボクは安心してホッと胸を撫で下ろした。
「今は私が所持しておりますが、もちろんすぐにルルア様の目に魔眼を宿すことも可能でございます。」
「それって普通の目に戻すことはできるの?」
「可能です。……しかし、魔眼は所有者にある程度のリスクを要求してきますので、ご使用の際は注意が必要でございます。」
「さっき言ってた呪いみたいっていうのが、そういうことなんだね。」
「はい。」
「う〜ん、じゃあ当分は魔眼にしなくてもいいよ。テンタがもし魔眼がボクに必要だって思ったら、つけてくれる?」
「お任せください!!」
魔眼の管理はひとまずボクより詳しいテンタに任せる事にした。
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