第4話
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ルルアが倒れてから1週間後の明朝……。
「ん……あ、れ?」
目を覚ますと、自分の体に明らかな変化が起きていることに気が付いた。
「胸が苦しくない……。それになんだかすっごく、体が軽いような。」
さっきまであんなに苦しかったのに、今はどこもなんともない。むしろ今までで一番元気かも……。
「あ!!そういえば…て、テンタは?どこに行っちゃったんだろ。」
周りを見渡してみるが、この山小屋の中にテンタの姿はなかった。きょろきょろと顔を動かして探していると、するはずのない他の人の声が後ろから聞こえてきた。
「おはようございます!!我が救世主様!!」
「うえっ!?」
驚いて後ろを振り返ってみるけど、そこには当然誰もいない。不思議に思っていると、ボクの視界の下からニュルリと見覚えのある形状の生き物が姿を現した。
「て、テンタ?テンタなの?」
「はいっ、テンタでございます!!」
「しゃ、喋れたんだ。」
テンタが言葉を話せるという事実に驚いていると、それについてテンタが説明してくれた。
「実は、私が言葉を話せるようになったのには理由がありまして……我が救世主様、腰のあたりを触ってみていただけますか?」
「腰?」
テンタに言われた通り、自分の腰のあたりに手で触れてみると何か尻尾のような物が生えているのがわかった。
「へ!?な、なにこれ!?し、尻尾?」
「いえ、尻尾ではございません。これは私…テンタの体でございます。」
「えぇ!?どど、どうなってるの!?」
「落ち着いてください我が救世主様、順を追って説明させて頂きます。」
状況がまったくわからなくてあたふたしていたボクに、そう優しく声をかけながらテンタは一体ボクの体に何が起こったのか説明を始めた。
「まず第一にご理解していただきたいのが、我が救世主様……あなた様は敗魔症末期の症状を発症して、お亡くなりになってしまいました。」
テンタが語ったその説明にボクは驚きはしたものの、すんなりと納得できてしまった。
「……そっか、なんとなくそんな気はしてた。」
「ご理解いただきありがとうございます。」
「死んだはずのボクが生きてるってことは、テンタがボクに何かしてくれたんだよね?多分……。」
「不躾ながら、我が救世主様の肉体を復活させるため、私の肉体を触媒として使わせていただきました。」
自分自身が死んだことはすんなりと理解できたのに、テンタが何を言っているのかは難しすぎてまったく理解ができない。
「詳しく説明させていただきますと、我が救世主様の心臓は敗魔症によって完全に機能を停止してしまいました。その心臓に私が成り代わった……そういうことになります。」
「えっと、ボクの心臓がテンタになっちゃったってこと?」
「そういう認識で問題ありません。そして私が我が救世主様の心臓の代わりになった結果、一心同体となってしまった次第です。」
ボクにもわかるように説明をし終えると、テンタは頭のような部分をしゅん……と申し訳なさそうに垂れた。
「我が救世主様に命を救ってもらった恩返しをしたいと、私なりに何とか考えて行動したつもりだったのですが、こんな望んでいないような結果になってしまい申し訳ありません。」
「謝ることなんてないよテンタ。だってボクはこうやってまだ生きていられるんだから。」
「我が救世主様……。」
眼もないのに、テンタは粘液のような、涙のようなものを体表面からボロボロと溢れさせた。
「慈愛の女神のようなその優しさに、ただひたすらに感謝いたします我が救世主様。」
ボクのことをまるで神さまのように崇めてくるテンタに、思わず歯痒くなってあることをお願いした。
「あ、あのさテンタ。そのマイメシアっていう呼び方やめない?ちょっと恥ずかしいんだけど。」
「し、失礼しました。ではなんとお呼びすればよろしいですか?」
「普通にルルアでいいよ。」
「ではルルア様と呼ばせていただきます!!」
「う~ん、もうちょっと気軽に呼んでくれていいんだけど……。」
「いえ、ルルア様に敬意を示すためにもここは譲れません。どうかご容赦ください。」
「テンタがそこまで言うなら……うん、わかったよ。」
こうしてボクはテンタと一心同体になって、新しい人生を歩むことになった。
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