第38話
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焼いていた魚がこんがりと焼けてくると、辺りにすごくいい匂いが漂い始めた。それに反応してボクのお腹がさっきからひっきりなしに悲鳴を上げている。
「うぅ、すっごく美味しそう……。も、もう食べてもいいかなぁ。」
『ルルア様、これ以上は焦げてしまうのではないでしょうか?』
『そ、そうだよね。焦げちゃったらもったいないよね。』
ボクはお魚を火から外して、顔の前に持ってきた。すごく美味しそうで……もうかぶりつきたい衝動を抑えられない。
「い、いただきますっ!!」
勢いよく焼きたてのお魚にかぶりついた……ほとばしる脂が熱々で口の中を火傷しそうになったけど、そんなことよりも美味しさが勝っていて、熱さなんか気にせずにボクは夢中になってお魚に何度も何度もかぶりつく。
「んむんむ……はふ、おいひぃっ。」
自分でも驚いたけど、とてもボクのお腹に納まるようなサイズのお魚じゃないのに、ボクはこの大きなお魚をペロッと平らげて骨だけにしてしまっていた。
「はふ~、お、美味しかったぁ。」
『非常に美味な魚でございましたね。地下の世界にいる魚とはまるで違いました。』
『地下の世界にもお魚っているの?』
『もっと詳しくご説明させていただきますと、魚の魔物と言ったほうが正しいですね。先程ルルア様が食された魚に手足が生えていたりする不気味な生き物でございます。』
『うん、聞いただけでもう美味しくなさそう。』
『ヘドロを濃縮したようなとてつもない臭い……そして何より味が苦いのです。とても食べれたものではありませんでした。』
テンタはどうやらその地下の世界の魚を食べたことがあるみたいで、その味を思い出したのかすごく不快そうな声色で言った。
『そもそも地下の世界には、美味しいと思えるものが養殖されたスライムぐらいしかないのです。』
『そ、そうなんだ。』
『ですがこんなに美味しい食事を知ってしまっては、あの食事には戻れませんね。』
そうテンタはしみじみと語った。
「よいしょ、お腹もいっぱいになったし、町に行ってみようかな。宿も探さないといけないからね。」
残った魚の骨を炎の魔法で完全に焼き尽くして、灰にして自然に返した後、ボクは湖の向こうに見える街に向かって歩き出した。
ガーイーという町に入って、すぐに近くの宿で部屋を借りて、ボクはふかふかのベッドに体を預けた。
「んん、ふっかふかぁ……。」
ふかふかのベッドに顔をうずめていると、にゅるりとテンタが顔を出した。
「ルルア様、このままお休みになられますか?」
「うぅん、まだ起きてるよ。この町ももう少し歩いて観光してみたいし。」
ベッドから体を起こして、一つ大きくため息を吐いたあと、ボクはテンタにあの女性の魔族のことについて聞いてみることにした。
「ねぇテンタ、あの魔族の女の人ってどうなったの?」
「大絶賛別空間で調教中でございます。調教風景をご覧になりますか?」
「そ、それ大丈夫?血とかいっぱい出てない?」
「ご安心くださいっ、血生臭いことをしているわけではございませんので。安心してご覧になれます。」
「じゃ、じゃあちょっと気になるから見てみたいかも。」
「かしこまりました!!それではこちらへどうぞ。」
テンタは魔法で目の前の空間を切り裂くと、そこに別の空間への入り口が現れた。
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