第37話
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目の前いっぱいに広がっている大きな水たまり……初めて見る光景に、ボクは思わず息を呑んだ。
「すごい……綺麗。海もこんな感じなのかなぁ。」
『ルルア様、お気に召して頂けたでしょうか?』
『うん、ちょっと遊んでいきたい。』
ボクは水辺に近付いて、靴を脱いで足を水に浸してみた。
「冷たっ……。」
湖の水はすごく冷たくて、足を浸けたら思わずビクッとしてしまう。でも慣れてくると少し気持ちいいかも。
少し水辺をパチャパチャと歩いていたとき、ふとボクは孤児院にいたときから、やってみたかったことを思い出した。
「あ、そうだ。せっかく湖に来たんだし、釣りをやってみたいな。」
『ルルア様、釣りとは何でしょうか?』
『釣りっていうのは……えっと水に住んでるお魚を針にひっかけて釣り上げる……遊び?なのかなぁ。』
『なるほど!!となると何か道具が必要ですか?』
『そうだね。だから、えっとここにある木の棒と……あ、糸と針はどうしよう。』
竿の代わりは木の棒で何とかなるけど、糸と針の代わりが見つからない。何かないかなって周りを探していると、テンタが頭の中に話しかけてきた。
『今ルルア様が思っているイメージを私も共有させていただきました。私の体を使えば、ルルア様の思っている釣り竿というものを完璧に再現できるかと思います。』
『ホント?』
『はいっ!!お任せください!!』
するとテンタはボクの服の袖から極細の触手を伸ばして、木の棒に巻きついていく。
『あとは触手の先端を鋭利にすれば……。』
木の棒から垂れた触手の先端が、鋭いフックのように変形する。
『これでいかがでしょうか?』
『バッチリだよテンタ。これなら案外普通の釣り竿みたいだし、見られてもバレないかもね。』
あとはその辺の虫を捕まえて、触手にブスッと刺せば準備完了。
「よ〜し、これでやってみよう。」
近くの岩に座って、餌のついた触手を水の中に入れてみた。するとすぐに何か重いものが食いついたような感覚が手に伝わってくる。
「来たかも?」
釣り竿を思い切り自分の方に引っ張ってみると、湖から触手にぐるぐる巻きにされたお魚が釣り上げられて、岸に打ち上がった。
『お見事ですルルア様っ!!』
『えへへ、ありがとうテンタ。』
テンタに絡みついている触手を解いてもらって、どんなお魚が釣れたのか改めて見てみる。
「な、なんか見た目からして肉食……って感じのお魚。」
釣れたお魚は牙が凄く鋭くて、目つきも獰猛で……いかにも肉食って見た目で分かるお魚だった。
「これ美味しいかなぁ……。」
せっかく釣ったんだし、食べてみたい気持ちがある。でもどうやって食べようかな……。
そう悩んでいると、触手から解放されたそのお魚は、ボクに噛みつこうとして飛びかかってきた。
「わっ!?」
『無礼っ!!』
ボクが驚いていると、テンタが触手でお魚の頭を引っ叩いて、一撃で仕留めてくれた。
『まったく、食材の分際でルルア様に噛みつこうとするとは……知性のない生き物は困りますね!!』
『あ、あはは……ありがとうテンタ。せっかくだから焼いて食べてみよっか。』
お魚は孤児院で給食当番だった時に、焼き魚を作るために鱗を取ったりとか内臓を取ったりとかはやったことがある。
さすがにこんなに大きい、しかも生きてるお魚は触ったことないけど……多分同じ要領でできると思う。
「えっと……まずは鱗をとって。」
まずは買った短剣でお魚の鱗をカリカリと剥がす。小さいお魚と違って鱗が大きいから、剥がすのがすごく大変だった。
「そしたらお腹を切って、内臓を取り出す。」
そうして、内臓を取って綺麗に洗ったお魚を先端を削って尖らせた木の棒に突き刺した。
「よっし、あとは焼くだけ。テンタ、ここに火を起こしてくれない?」
『お任せくださいっ!!……フレイム。』
木をいっぱい集めたところにテンタに火をつけてもらって、その火でお魚を焼いていく。
「お魚が焼けるまで、あとはじっくり待とう。」
お魚が焼けるまでの間、ボクはテンタと話したり、また釣りをしたりして、時間を潰した。
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