第35話
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「がっ…ぐぐ、何がどうなって……。」
地面にめり込んで動けなくなっている女性の魔族に、テンタは違う触手をボクの体から伸ばして、頭を上から押さえつけた。
「むぐっ……。」
「お前たちのような下等な魔族とルルア様を一緒にするな。ルルア様は、この世にたった一人だけの究極生命体だ。貴様らのような下等種族とは違うのだ!!」
ぐるりとテンタは触手を女性の魔族の首に巻きつけると、再び頭を地面に叩きつける。
「うぁっ!!」
「ふん……まったく腹立たしい。」
そう吐き捨てて、テンタは今度ボクの方に向き直った。
「ルルア様、この雑魚魔族はいかがいたしましょう?」
「う〜ん……テンタ、一応確認なんだけど、本当に死んじゃった人とかは居ないんだよね?」
「はいっ!!このテンタ……命を賭けて断言致します!!」
「そっか、じゃあこの人をどうするかはテンタに任せるよ。」
「よろしいのですか?」
「うん、でもできれば殺さないであげてほしいな。町の人も無事だったから……。」
「かしこまりました!!ではこの雑魚魔族は、一度しまっておきましょう。」
するとテンタは、魔法で女性の魔族をガチガチに拘束すると、収納魔法でどこかにしまってしまった。
「ちなみに、あの人をテンタはどうするつもりなの?」
「雑魚魔族とはいえ、ある程度の知能と強さはありますので、私達の従順な下僕にしようかと思っておりました。」
「そ、そうなんだ……。」
「ちょうど私達の身の回りのお世話ができる人材が欲しかったので……よろしいでしょうか?」
「うん、殺さないでいてくれるならそれでいいよ。」
「約束致します!!」
その後、ボクは町に残った魔物を一匹残らず倒しに向かった。魔物を倒しながら、ボクはテンタにさっき疑問だったことについて聞いてみることにした。
『ねぇ、テンタ?』
『はい、いかがいたしましたか?』
『あの魔族の人、最後魔法が使えてなかったみたいだけど、アレってテンタがなにかしたの?』
『あれはですね、シャドウドッペルによる分身体が魔力が切れて消滅する刹那、奴に一方的な魔力共有の印をつけていたのです。』
『……魔力共有の印?』
『はい、簡潔にご説明いたしますと、私が奴の魔力を自由に扱うことができるようになる印でございます。』
『そ、そんな事もできるんだ……。』
『そして奴の魔力を全て使い、町の人間一人一人にバリアを張った結果、最後の魔法は不発に終わったというわけでございます。』
『なるほどね、そういうことだったんだ。』
テンタからの解説を受けながら、ボクは目の前にいた最後の一匹の魔物を討伐した。
「これで全部……かな?」
『はい、もう魔物や魔族の反応はありません。お疲れ様でございましたルルア様。』
全部の魔物を討伐し終えると、足元の地割れしていた地面が徐々に元に戻っていって、最後にはほぼ元通りくっついてしまった。
「これって元に戻るんだ。」
『地下から地上へと道を繋げるのは、容易なことではないのです。詳しく説明すると長くなるのですが……開こうとする力が加わると、反発して閉じようとする大きな力が発生する仕組みになっているのです。』
『そうなんだ。テンタは物知りだね。』
『お褒め頂き光栄でございます!!』
こっそりとボクの肩から顔を出したテンタの体を撫でながら、ボクは改めて壊れた町に目を向けた。
『でも元に戻ったのは、この割れた地面だけだね……。』
『元に戻るのは根本的な世界そのものだけですから。人間が世界の上に建てた建造物は、それには含まれていませんので……残念ながら。』
『……そっか。』
町はすごく壊れてしまったけど、犠牲になった人がいなくて本当に良かったと思う。時間が経てば生き残った人の手で町も元に戻ると思うし……。
『テンタ、アランさん達の所に戻ろう。』
『仰せのままに……ルルア様。』
テンタの張ったバリアが役目を終えて、パチパチと弾けていく音を聞きながら、ボクはアランさん達が眠ってる場所に戻るのだった。
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