第34話
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ノーラさんを囲んでいた魔物を全部倒して、大きく息を吐きだしていると、突然ズキッと頭を針で刺されたような痛みが襲ってきた。
「うっ……今、頭が。」
『……!!分身がやられた?……まさか。』
頭に響いてくるテンタの声色が、少し動揺しているのが伝わってくる。
「ルータ君、大丈夫?」
「だ、大丈夫です。ノーラさんは早く逃げてください。ボクはまだ魔物を倒さなきゃ……。」
ノーラさんに逃げるように伝えて、ボクはまた魔物を倒そうと歩き出すと、正面に魔物の死骸と瓦礫を巻き上げながら人が吹き飛んできた。
「ぐぅっ……ダン、生きてるか?」
「な、何とかな。」
「アランさんに、ダンさん?」
瓦礫と死骸の山からフラフラと立ち上がったのは、アランさんとダンさんだった。
「る、ルータ君!?キミがここにいるってことは……さっき殺られてたアレは魔法の分身か。」
「そうだと分かって安心したぜ……ゴホッ!!」
2人は体の至る所から出血していて、本当に立っているのがやっとな様子だ。
「ひ、ヒール!!」
2人に向かって手を出しながら、ヒールと回復魔法を唱えると、みるみるうちに2人の傷が治っていく。
ノーラさんに手伝ってもらって、2人を宿屋の中まで引きずってから何があったのかボクは聞いてみた。
「何があったんですか?」
「地面の亀裂から、とんでもなく強い魔族が出てきたんだ。そいつにルータ君の分身が殺られてたんだよ。」
「俺とアランも命懸けでそいつに立ち向かったんだが、魔法一発食らってあのザマさ。」
「そう……だったんですか。」
2人から事情を聞いていると、ボク達の足元に大きな魔法陣が突然現れた。
『ルルア様ッ、魔法が来ます!!衝撃に備えてください!!』
頭がキーンとするぐらい叫んだテンタ。足元の魔法陣が光を放ち始めるとほぼ同時に、ボク達を半透明の膜が包んだ。
その直後、眩い光と共に轟音が鳴り響き、ボク達が身を隠していたノーラさんの宿屋は跡形もなく消し飛ばされてしまった。
「へぇ、今の魔法食らって生き残るんだ。」
舞い上がった土埃の中から、悪魔のような角を頭から生やしただけの、ほとんど人間と姿が変わらない女性の魔族が姿を現した。
「さっき分身でご挨拶してくれたキミが犯人でしょ。人間にしてはなかなかやるじゃん。」
緑色に爛々と光る目をこちらに向けてくる女性の魔族……。ボクは勇気を出して1つ質問してみることにした。
「……どうしてこんな事するんですか?なんで人間を襲うんですか?」
「ハハハッ、そりゃあ……私が強くなるために決まってるじゃん?キミぐらい強い魔力の人間を食べたら、きっと……4柱の空いた一席に座れるんじゃないかなぁ!?」
そしてまた魔法を放とうと、女性の魔族は魔法陣を展開する。それとほぼ同時に、テンタの声が頭に響く。
『お待たせして申し訳ありませんでしたルルア様。たった今、この町にいるすべての人間にバリアの付与を完了……安全を確保しました。犠牲者は1人もおりません。』
「えっ?」
何がどうなっているのか理解する間もなく、ボクに向けられていた魔法陣が光を放ち始めるが、突然ポシュッと情けない音を立てて消えてしまう。
「は?……はぁ!?なんで魔法が消えんの!?」
女性の魔族が動揺していると、ボクの口が勝手に動く。
「フォール……ドリーム。」
そう口に出した瞬間、ボクの隣にいたアランさん達がバタッと倒れ込み、スヤスヤと寝息を立て始めた。
それを確認して、ボクの腰から生えたテンタがにゅるりと女性の魔族の前に顔を出す。
「ずいぶん調子に乗ったな雑魚魔族。」
「な……触手!?まさか、キミも魔族だったの!?」
「……魔族という存在を知ってる輩に会えば、こちらの正体を見るなり魔族、魔族と……。無礼だぞ。」
テンタが怒気を含んだ声でそう言うと、ボクの前にいた魔族の女性は勢い良く顔面から地面に叩きつけられていた。
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