第33話
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
本を読んで少し時間を使って、また何か面白いものを探して歩いていると、突然背筋を冷たい何かがぞわっと突き抜けていった。
「な、何今の……。」
『この気配……ルルア様っ、失礼いたします!!』
「へ?わぁっ!?」
突然ボクの体が大きく空へと舞い上がって、町全体を見下ろせるぐらいの高さまで飛びあがると、そこでピタリと止まった。
「テンタ、どうしたの?」
「今しがたルルア様が感じたものは、濃密な魔素でございます。」
「魔素?魔素って魔力の源になるやつだよね?」
「はい。それが地中からすさまじい勢いで湧き出しておりました。」
「それってつまり……どういうことなの?」
「あれほど濃密な魔素は、先程ルルア様にお話しした地下の世界……魔物の世界に満ちているものでございます。それが溢れ出したということは……地下の世界とこちらの世界の境目が壊れつつあるという事でございます。」
テンタがそう説明してくれたと同時ぐらいのタイミングで、町のいたるところで地割れが起こって、紫色の煙が噴き出してきた。
「これ……ど、どうなっちゃうの?」
「もうじき地下の世界にいた魔物が魔素と共に溢れ出してくるでしょう。」
そのテンタの言葉通り、地割れで開いた地の底から魔物がたくさん溢れ出してきた。地下から出てきた魔物はすぐに目に入った人達に襲い掛かっていく。
「テンタ、あの魔物……ボクなら全部倒せる?」
「もちろんでございます。」
「じゃあ行こ。みんなを助けなきゃ。」
「御意に。」
次の瞬間、ボクの足は地面についていた。短剣を2本鞘から引き抜きながら、ボクは狐のお面を被る。
「テンタ、お願い手伝って。」
「お任せくださいっ!!このテンタ、最大限のサポートをさせて頂きます!!」
「ありがとテンタ。……行くよ。トレースククーリ。」
ククーリさんの動きを真似る魔法を使って、ボクは目の前に見える大きなヘビのような魔物へと向かって走った。
「ふっ!!」
そのままその魔物を真っ二つにして、丸吞みにされていた人を助け出した。
「次は……アイツっ!!」
今度は2足歩行の鰐のような頭の魔物に狙いを定めると、ボクの目の前に魔法陣が現れて、そこから水の槍が何本も飛んでいって、あっという間に串刺しにしてしまった。
『ルルア様、ここは一度分身に任せましょう。あのノーラという女の宿の方から強い魔力を感じます。』
『わかった。』
「シャドウドッペル!!」
テンタが使っていた分身を生み出す魔法を口にすると、すぐにボクの分身が生み出された。その分身はこちらにぺこりと一礼して、すぐに近くの魔物を倒しに行った。
『あの分身には私の意識をコピーしておきました。こちらの指示が無くても自立して行動いたしますのでご安心ください。』
『ありがとうテンタ。じゃあノーラさんのところに急ごう。』
この場所は分身に任せて、ボクはノーラさんの宿へと走った。ノーラさんの宿が見えてくると、そこには何匹か魔物が集まっていて、その中心にノーラさんともう一人……背中から大きな蝙蝠のような羽根を生やした人型の魔物が立っていた。
「魔物だけならまだしも、魔族なんて聞いてないんだけど。」
「美味ソウナ魔力ノ人間ダ。コイツハオレガ喰ウ。」
「くっ……。」
じりじりとノーラさんに詰め寄っているその魔物へ、ボクは一気に距離を詰める。その途中でテンタが頭の中に話しかけてきた。
『ルルア様、あれは魔物の中でも知能を持った魔族と呼ばれる割と強い存在です。』
『倒せるよね?』
『あの程度の魔族であれば、何の障害にもなりません。』
『わかった。』
そのままボクはノーラさんとその魔族の間に入りながら、手にしていた短剣を横に大きく振り抜いた。
「ン?ナニ……ガ。」
何が起こったのか理解する間もなく、目の前の魔族の首が胴体を離れて地面に落ちる。テンタの言ってた通り、あんまり強くはなかったみたいで安心した。
「る、ルータ君!?」
「ノーラさん、今魔物を倒しますから少し待っててください。」
ノーラさんを庇いながら、ボクは目の前に押し寄せる魔物を一匹残らず倒していくのだった。
続きが早く読みたい方は、続きが気になるとか、続きはよとか感想を送って頂けると、私しゃむしぇる頑張って投稿ペース上げます。




