第29話
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隠し部屋のような所へと案内してくれたおじさんは、ボクに向かって一言謝ってきた。
「試すような真似して悪かったな坊や。どうしてもこっちの武器を売る前に、どの程度の腕なのか確かめておきたくてな。」
「い、いえ大丈夫です。」
『何かおかしいと思ってはいましたが、この人間……ルルア様を試すとは良い度胸をしてますね。』
頭の中でそう言ったテンタの声色には、怒りが込められていた。
『ルルア様の力は人間程度が測れるものではないというのに…………。』
『ま、まぁまぁ落ち着いてよテンタ。せっかくこんな強そうな武器を見せてくれたんだから……とりあえず見てみよ?』
『……分かりました。処分は保留にしておきます。』
何とか頭の中でテンタを落ち着かせた後、ボクはおじさんに問いかけた。
「あの、見て回ってもいいですか?」
「あぁ、好きに見て回って触ってみると良い。」
ボクは試しに目の前に見えている、ボクの背丈よりも大きな大剣に手をかけた。
「よい……しょっ。」
何故か軽々と持てるような気がして、片手で大剣を持ち上げてみると、本当に片手でこんなに大きな剣が持ててしまった。
「坊や、その剣は大人5人がかりでも持ち上げられなかった大剣だぜ?よくそんな軽々と片手で持ち上げられるな。」
「え、そうなんですか。」
その事実にも、自分自身にも驚いていると、テンタがこの剣について頭の中で説明してくれた。
『ルルア様、この剣の質は悪くありません。ただ、少し鈍重ですので小回りの利く相手には少々不利になるやもしれません。』
『そっかぁ、言われてみるとそうだよね。』
大剣を元あった場所に戻して、今度は先端が三叉になった槍を手にしてみた。
『これはどう?』
『魔力伝導率の良い素材で作られている槍のようです。上手く扱えば先端から魔法を放つことができると思われますが、今回私達が求めているのは、魔力の無い状況で役立つ武器ですので……。』
『合わないってことだよね。』
『はい。』
となると、残ってるのは短刀に長剣……それと拳に付ける武器ぐらい。拳につけるのは、テンタがそれだけはどうか……とお願いしてきたので候補に入れず、最終候補に残ったのは短刀と長剣の2種類になった。
「この短刀は……。」
『これは中々良い物ですルルア様。しなやかで軽い材質ながら、硬度は十分……。余程打ち合う相手の武器の質が高くない限り、刃毀れを起こすようなことも無いかと。』
『こっちの長剣はどうかな?』
長剣の方も手に取りながらテンタに問いかけてみた。
『こちらは、自動で刃毀れが修復する特殊な素材で作られておりますね。ただ修復には時間がかかるようです。特殊な材質故に、そちらの短剣よりも少々打たれ弱い物となっております。』
『大きいのにこっちの小さい短剣よりも打たれ弱いんだ……。』
『はい。』
刃毀れが自動で直るのはすごく良い機能だと思うけど、打たれ弱いって聞くと……なんかこっちの短剣のほうが良く思えてきた。
こっちだったらトレースククーリって魔法を使えば、ボクでも使えるようになるし……。
『じゃあこっちの短剣にしよっか。2本あるけど、2本とも買う?』
『ここは買っておきましょう。』
テンタとの相談で決まった短剣を2本手にとって、ボクはおじさんに言った。
「あの、これ買います。」
「……なるほど、純ミスリル製の短剣にしたのか。悪くない選択だ。だが、そいつはこのラインナップの中でも高い方だぞ。2本で白金貨1枚だ……払えるかい坊や?」
「白金貨1枚……これでお願いします。」
ボクは収納魔法でしまっていた白金貨を取り出しておじさんに渡した。おじさんは疑い深く、白金貨を虫眼鏡でじっくりと確認したあと、大きく頷いた。
「毎度あり。もし刃毀れしたり、曲がったりしたらすぐに持ってきな。この鍛冶師ラッドがすぐに直してやる。」
「ありがとうございます。その時はお願いします。」
2本の短剣とその鞘もしっかりと貰って、ボクはお店を後にした。
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