第23話
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
町の中を歩いていくと、すぐに関所が見えてきた。そこには、2人ぐらい人が見える。その人達の内一人はこっちに向かって、ビシッと敬礼していた。
『あの関所にいる人間……一人はギルドの人間のようですが、もう一人は憎たらしい聖騎士のようですね。』
『テンタ、どうする?』
『ルルア様、少しだけ体をお借りしても?』
『いいよ。任せるね。』
『感謝致します。』
そんな会話の後、ボクの体の主導権がテンタに切り替わる。ボクの体を動かしてテンタは真っすぐに関所に向かう。
そして2人の目の前に差し掛かると、こちらに敬礼していた女性が声を上げた。
「お、お疲れ様ですっ!!」
「ん。」
緊張気味に、ボクに向かって大きく頭を下げた女性の態度にテンタはひらりと手を上げて反応した。
しかし、聖騎士の人はボクを見下すように、両腕を組んで仁王立ちしていた。
「狐の面……噂のフォクシー部隊ってやつか。こんなちびっ子がねぇ。」
「ちびっ子?」
「こんなガキみてぇな奴を極秘部隊のフォクシーに入れてる辺り、ハンターは人員不足と見えるな。」
「ガキ?」
聖騎士の人がそういった瞬間、ブチッとテンタの堪忍袋の緒が切れた音が聞こえてきた。それとほぼ同時……テンタは拳を聖騎士の人の顔面に向かって振り抜いていた。
その一撃はとんでもない威力だったようで、聖騎士の人が着けていた兜がベッコリと陥没し、口元の呼吸穴からブシュッと血が噴き出す。
「がぁっ…………。」
「無駄に大きな鎧と、肥大化した慢心を相応の大きさに潰してやる。」
そう言ってテンタは、聖騎士の人の全身を余す所なくボコボコに殴り倒していく。テンタに殴られた鎧は凹んで、鎧の中の人に密着していった。
そして大きく見えていた鎧を、服と見間違うほどペチャンコにすると、テンタは女性の方を向いて言った。
「後処理お願いします。」
「あ、は、はい〜……。」
その女性はすぐに緑色の宝石をポケットから取り出すと、ある人物に連絡をとった。
「あ、こちらドゥルのケイトです。」
『こちらダンだ。フォクシーは着いたか?』
緑色の宝石から聞こえてきたのはダンさんの声。
「は、はい。今目の前に……。」
『だ、大丈夫だろうな。人払いはしっかりしたか?』
「だ、大丈夫です。緊急放送で町にいる人は全員建物の中に避難してますから。」
『ほっ……なら良い。』
「た、ただ1つ問題が起こって……。」
『問題?』
「フォクシーの人を侮辱した聖騎士が……ぼ、ボコボコに。」
『…………死んだか?』
「え、えっと…………あっ。」
テンタは、ダンさんと通信していた女の人からその宝石を奪うと、それに向かって言った。
「慈悲はかけましたよ。全身至る所の骨は折れてますけど、生きてます。」
『すまん、感謝する。』
それだけダンさんに伝えると、テンタはその宝石を女の人に返した。
「じゃ、ボクはオーガを殲滅してきます。……こっち見ちゃダメですよ?」
「りょ、了解しましたっ!!」
関所を出て少し歩いたところで、体の自由がボクに戻ってきた。
『まったく、失礼な奴でしたねルルア様っ!!』
「ボクの代わりに怒ってくれてありがとうテンタ。それと、ちゃんと殺さないでくれてありがと。」
お礼を言いながら、首元からニュルっと顔を覗かせていたテンタの体を指で撫でると、テンタの表面から粘液がブワッと吹き出した。
「光栄の極みでございますぅ。ルルア様ぁ……。」
もう関所からもボク達を見えなくなったところで、テンタは普通に言葉を話した。
「あ、あはは……。嬉しかったのはボクの方なんだけどなぁ。」
そんな会話をしていると、ズン……という音と共に、ボクの前に影が降りた。目の前を見上げてみると、そこには筋骨隆々で真っ赤な肌の鬼のような魔物がいて、ボク達を見下ろしていた。
「下級の魔物如きが……頭が高いぞ。」
そうテンタが言ったと同時に、その魔物の両足と首が見えない何かによってスパンと切り落とされる。
「今のがオーガです、ルルア様。脳みそまで筋肉なので、知能はほぼありません。」
「そ、そうなんだ。」
「ざっと探知してみた感じですが、この鉱山には後50匹ほどオーガがいるようですね。パッと片付けてしまいましょう!!」
ウキウキなテンタと一緒に、ボクはいよいよ鉱山に足を踏み入れるのだった。
続きが早く読みたい方は、続きが気になるとか、続きはよとか感想を送って頂けると、私しゃむしぇる頑張って投稿ペース上げます。




