第21話
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アランさんとダンさんの2人に誓約書に名前を書かせた後、テンタは威圧するのをやめて、ボクに体の自由を返してくれた。
『申し訳ありませんルルア様、急でしたので断りなくお体を借りさせていただきました。』
『うぅん、大丈夫だよテンタ。ボクのことを思ってやってくれたんでしょ?』
『はい……ルルア様の重大な秘密に気づいてしまったこの2人を、本当は殺して口を塞ぎたかったのですが、ルルア様に人殺しは駄目だと言われておりましたのでこのような形にさせて頂きました。』
『うん、ありがとうテンタ。ボクのお願いをちゃんと聞いてくれて嬉しいよ。』
『こ、光栄の極みでございますぅルルア様ぁ!!』
テンタがすごく喜ぶと、ボクの肩をまた粘液が伝って行ったのを感じる。そしてテンタと脳内で会話を終えた後で、全身から冷や汗を流して息の詰まっているアランさんとダンさんにぺこりと頭を下げた。
「急にごめんなさい。ボクのこの秘密だけは本当に誰にも知られたくなかったんです。」
「はっ、はっ……ま、マジで殺されるかと思ったぜ。」
「い、生きた心地がしなかった。今まであんな強烈な殺気に当てられたことなんて……。」
「る、ルータ君……本当に一体キミは何者なんだ?」
「ごめんなさいダンさん。その質問には答えられません。」
「い、いや、ただ言ってみただけだから気にしないでくれ。キミのことをこれ以上詮索するつもりはない。」
それからしばらくの間、2人が落ち着くまで沈黙の時間が続いた。2人の体の冷や汗が引いた後、ようやくこれからボクが所属するフォクシー部隊というものについて話してくれた。
「ふぅ、じゃ、じゃあルータ君がこれから所属するフォクシー部隊について、俺から説明させてもらう。」
「お願いします。」
「フォクシー部隊は、ハンターズギルドが抱える極秘部隊っていうのは理解してくれたと思う。次に任務についてだが、フォクシー部隊に回ってくる任務は2種類。悪党の暗殺と、強力な魔物の討伐……これだけだ。」
「人殺しはあんまりやりたくないです。」
「わかってる。さっき俺達を殺さなかったから、人殺しに抵抗があるのは十分伝わってきた。だからキミに人殺しの依頼を回したりはしない。安心してくれ。」
「ありがとうございます。」
「基本的に急ぎの任務じゃなければ、俺から直接任務をお願いすることはないが……急を要する場合はお願いすることもある。」
「その場合って連絡はどうやって取るんですか?」
「これをフォクシー部隊の人間には渡してるんだ。」
ダンさんはボクに青色の宝石みたいなものを手渡してきた。
「これは緊急連絡用の魔石だ。急な任務がある時だけ、これで連絡させてもらう。こんな感じで魔力を込めると……。」
ダンさんはボクが持っているものとは違う、赤色の宝石を手に取ると口元に当てた。そして言葉を話すと、ボクの持っている青い魔石から声が聞こえてくる。
『聞こえてるなルータ君。急を要する場合はこれで連絡させてもらう。』
「わかりました。」
そしてダンさんは赤い魔石をテーブルの上に置くと、また1枚別な紙をボクに差し出してきた。
「実は今ちょうど、急ぎの魔物討伐の依頼があってな。ルータ君以外のフォクシー部隊は他の任についていてしまってるんだ。」
差し出された紙にボクは目を通してみた。
「特殊個体オーガキング、並びに配下のオーガの一団の殲滅……。」
「あぁ、場所は隣町にある鉱山。ついこの前そこにオーガキング率いるオーガの軍団が越してきて、鉱山で働いてた炭鉱夫は皆殺しにされた。普通のオーガの数もとんでもなく多い上、オーガキングが特殊個体ってのもあって、下級の聖騎士じゃ相手にならねぇってことでフォクシーに依頼がやってきたってわけだ。」
「なるほど……。」
「ルータ君にはこの任務を請け負ってほしいんだが、どうだ?やってくれないか?キミならオーガキングが特殊個体だろうが必ず殺せる。」
この判断はテンタと相談してから決めよう。そう思ってボクは頭の中でテンタに話しかけた。
『テンタ、これどうしたらいいかな?』
『特殊個体であろうが、オーガキングごときルルア様の敵ではございません。気軽に引き受けて良い案件かと。報酬もずいぶんもらえるようですし。』
『わかった。』
『ただ、私たちの存在を知られないために、人払いだけは厳重にお願いしましょう。』
『うん、そうだね。』
テンタと頭の中でしっかりと話し合った末、この依頼を受けることを決めたことをダンさんに伝えた。
「わかりました、やってみます。その代わり、ボクたち以外の人をその鉱山に近づけないでください。」
「もちろんだ、そっちの手配は任せてくれ。」
そうしてボクがフォクシー部隊に所属して初の任務は、特殊個体のオーガキングとその仲間のオーガの殲滅に決まった。
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