第20話
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
ダンさんがお茶をボクと自分の分だけ淹れて、アランさんの隣に座った。
「……なぁ、アラン。この子どうするよ?」
少し困り顔でダンさんは、そうアランさんに意見を求めている。
「正直な話だけど、あたし自身ちょいと困ってるところはある。まさかこんな才能の持ち主なんて……ねぇ?」
「あぁ、剣術と魔法の両刀……しかもどっちも超一級品だ。そんな芸当ができる奴は聖騎士のトップぐらいしか俺は知らねぇ。だからこのルータ君の扱いには困ってんだ。」
ほとほと困り果てたような表情で、ダンさんは自分で入れたお茶を飲む。そしてしかめっ面になりながらボクに質問を投げかけてきた。
「……ちなみに、ルータ君はこれからどうしたい?」
「ボク……ですか?」
「あぁ、それによって俺達も対応を変えなきゃいけない。」
「じ、実はこれからどうしようかあんまり決めてなくて、とりあえずお金を稼ぐ方法を探してたところだったんです。」
「なるほどな。」
「あ、でもいくらお金が稼げても、聖騎士にはなりたくないです。ボク、あの人達あんまり好きじゃなくて……。」
「そうか、その気持ちは俺も理解できる。彼奴等は俺も好きじゃねぇからな。」
そう言ってダンさんはニッと笑うと、ボクに1枚の紙を差し出してきた。
「ルータ君、フォクシー部隊に入らないか?」
「え?」
「フォクシー部隊に入れば、キミの情報は世間に一切漏れない。キミの存在自体が、ハンターズギルドの極秘事項になる。それに任務をこなしてくれたら、報酬はがっぽりだ。」
ダンさんの提案は、ボク一人じゃ決められないことだったので、頭の中でテンタを呼び出した。
『テンタ、どうすればいいと思う?』
『この提案は、受け入れましょうルルア様。忌々しい聖騎士共からの隠れ蓑にはちょうど良いです。それに生活に必要なお金も稼げるなら文句は無いでしょう。』
『わかった。』
ボクはテーブルの上に置いてあったペンを手にとって、ダンさんに差し出された紙の名前を書くところにサインした。
すると、それを見てアランさんがニヤッと笑った。
「ようやくキミの本当の名前が知れたな。ルルア君。」
「えっ!?あっ……。」
まだルータという偽名に慣れていなかったせいで、ボクは自分の本当の名前でサインを書いてしまったんだ。
「う、嘘ついてすみませんでした……。」
「いや、それだけの才能を隠したい気持ちは理解できる。聖騎士が嫌いなら尚更さ。改めてよろしく頼むよルルア君。」
理解してくれたアランさんと、改めて握手を交わしていると、その横でダンさんはボクの本当の名前に聞き覚えがあったらしく、色んな書類の中から何かを探していた。
「あった……コレだ。1週間前にギルドに聖騎士協会から送られてきた通知書。」
「それがどうしたっていうのさ?」
「ここ、見ろよアラン。」
「あん?敗魔症に罹患している孤児のルルアという少年をこの町の近くの子捨て山に隔離した。次回の通知があるまで山に何人たりとも立ち入らせるべからず。……あ?」
2人が偶然ではない何かに気づいた瞬間、ボクの体の主導権がテンタに変わった。
「「〜〜〜っ!!」」
「ボクは敗魔症を克服しました……。だからここにいるんです。」
アランさんとダンさんの2人が、全身に大量の冷や汗をかいて、何も喋れなくなる程、テンタは強烈に威圧しながら言った。
「その秘密だけは誰にも知られたくありませんでした……。敗魔症は不治の病、本来治るはずの無い病ですからね。」
テンタはさっきボクがサインしてしまった契約書を手に取ると、炎の魔法であっさりと燃やしてしまった。
「知られたくない秘密を知られてしまったので、新しい誓約書が必要ですね。」
そう言って、テンタは魔法で誓約書を作り出した。それには、『私、ルルアについての一切の情報を漏らしてはいけない。』と真っ赤な文字で書いてあった。
「さ、もちろん誓約……してくれますよね?」
まるで強制されてるみたいに、アランさんとダンさんの2人は、震える手でその誓約書にサインした。それと同時に天から声が響く。
『誓約が成立しました。誓約が守られなかった場合、誓約を破った当人には罰が与えられます。』
「はい、ありがとうございます。それじゃあ今後、フォクシー部隊のルータとして、どうぞよろしくお願いしますね?」
続きが早く読みたい方は、続きが気になるとか、続きはよとか感想を送って頂けると、私しゃむしぇる頑張って投稿ペース上げます。




