第15話
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ゴォォォンと鐘がなるような音と共に、アランさんはまた床に沈んでしまう。フライパンを振り下ろしたのは他でもないノーラさんだった。
「ったく、誰の宿で剣を抜いてんだよ。ククーリのバカはあんたから移ったんだろ?」
そう鬼のような形相でアランさんに声をかけると、今度はすぐに穏やかな表情になってボクの方を向いた。
「はい坊ちゃん待たせたね。オムライス出来上がりだよ。」
そしてボクの前に置かれたのはオレンジ色のご飯が、とろとろの卵で覆われている料理だった。
「ふぁ……す、すごい。ボクこんな料理見たことないです。」
目の前に置かれた見たこともない料理に目を奪われていると、ノーラさんが言った。
「さっきの会話をちょっと盗み聞きしたんだけど、坊ちゃんずいぶんひどい扱いの孤児院から抜け出してきたんだろう?」
「は、はい。」
「大変な思いをしたねぇ……まだこんな幼いってのに。おかわりならいくらでも作ってあげるからたくさん食べなよ?」
ボクの作り話で涙をもらったらしく、ノーラさんは瞳にうっすらと涙を浮かべながらそう言ってくれた。
『ルルア様、あのアランとかいう女に邪魔される前にお腹いっぱい食べましょう!!』
『そうだね。』
アランさんは今回はしばらく起き上がってこれそうにないから、今のうちにこのオムライスって言う料理を食べちゃおう。
「そ、それじゃあいただきます!!」
「はいよ、た~んと召し上がれ。」
スプーンでとろとろの卵と一緒にオレンジ色のご飯を掬い取って、ボクはそれにパクっと飛びついた。
「んん~~~っ!!お、美味しいです!!」
「そっかそっか、美味しいならよかったよぉ。」
そう言ってノーラさんはにっこにこの笑顔を浮かべながら、ボクの頭を撫でてくれた。すると、何やらテンタが不機嫌そうにボクの頭の中に語り掛けてきた。
『このノーラという女……良い奴には間違いないですが、ルルア様に気軽に触れるとはっ……ぬぐぐぐ。』
『ま、まぁまぁテンタ落ち着いて。』
『……わかりました。この女の性格と、この摩訶不思議で美味しい料理に免じて許しましょう。』
そんな会話を脳内でしていた時、ボクはふとテンタのある言葉が気にかかった。
『そういえばテンタって、ボクが食べてるものの味とかってわかるの?』
『ルルア様と私は感覚を共有しているため、ルルア様が感じた味というものは私にも伝わってまいります。』
『そっか、それならボクが美味しいって思ってるものをテンタと一緒に味わってるって、なんか……楽しいね。』
『ルルア様ぁ、私と過ごす時が楽しいなんて……それは、それはっ最上級の褒め言葉でございます!!』
多分テンタは今ボクの右肩のところに生えてるんだと思う。肩から背中に粘液が伝って行ったのを感じる。
「はふ、ごちそうさまでしたノーラさん。」
「おかわりはいいの?」
「はいっ、お腹いっぱいになりましたから大丈夫です!!」
「なら結構結構。」
そしてボクが朝ご飯を食べ終える頃に、やっと意識を取り戻したアランさんが、全身をプルプルと震わせながら立ち上がった。
「あ、あたしもご飯……。」
「はいはい、ちゃんと用意してるよ。」
「感謝する、い、いただきます。」
アランさんの目の前にオムライスって料理が置かれると、アランさんはものすごい速さでそれを完食してしまう。
「うん!!美味かったぞノーラ!!さっき受けたダメージも全快だ。」
「ったく、元気になった途端喧しくなって……アランもちょっとはこの坊ちゃんの謙虚さを見習いな。」
「そ、そうだ少年っ……いやルータ君!!さっきククーリに剣を教わったと言っていたな!?」
元気になるとアランさんはボクの両肩を掴んで、好奇心いっぱいの目でそう問いかけてきた。
「は、はい。」
「その剣の腕をあたしに見せてくれないか!?も、もちろんタダでとは言わない。剣の腕が立つようならハンターの偉い奴に紹介状を書く!!ど、どうかな?」
その提案にどう答えるか迷っているとテンタが頭の中で言った。
『この提案受けましょうルルア様。』
『いいの?』
『はい。きっとハンターという職業になればお金も稼げるはずですから、この際この女をボッコボコにしてやりましょう!!』
やる気満々のテンタに少し驚きながら、ボクはアランさんの提案を飲んだ。
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