第14話
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朝ご飯が出来上がるまでの間、ノーラさんに大きなたんこぶを2つ作られたあの女の人がボクの前に座った。
「ま、まずは自己紹介からだな。あたしはアラン。キミの名前は?」
「ボクは……。」
素直に自分の名前を答えようとしたとき、テンタの声が頭の中に響いた。
『ルルア様、ここは偽名を名乗っておきましょう。本名を知られると後に響くやもしれません。』
『偽名っていっても……何かいい名前ある?』
『ルルア様の名前と私の名前を合体させ、ルータというのはいかがでしょう?』
『それいいね。』
脳内会話で偽名が決まったところで、ボクはその名前を口から出した。
「ボクはルータって言います。」
「ルータ君か、その名前は両親に与えてもらったのか?」
「……わかりません。孤児院にいたときからその名前で呼ばれてました。」
「なるほどな。という事は君は孤児院から抜け出してきたという事で間違いないな?」
「は、はい。」
「なぜ孤児院を抜け出そうと?」
「それは……。」
質問攻めにあっているとき、またテンタが頭の中で語りかけてきた。
『ルルア様、この女……なかなか頭が切れるようです。ぼろが出る前に質問を切り上げて、こちらから質問をしてやりましょう。』
『わかった。』
「孤児院でボク……虐待を受けてて。」
思い付きで質問に答えると、それを聞いたアランさんは少し難しそうな顔をしながら謝ってきた。
「……そうだったのか、辛いことを聞いてしまってすまない。」
「大丈夫です……あの、今度はボクが質問してもいいですか?」
「あ、あぁ。こちらばかり質問攻めにしてすまなかった。何でも聞いてくれ。」
質問の手番がこちらに回ってきたので、テンタに何を質問すればいいのか頭の中で聞いてみる。
『テンタ、何を聞けばいい?』
『ハンターという職業について聞いてみてください。』
テンタに言われた通り、ハンターって言う職業についてアランさんに質問してみる。
「あの、ハンターって言う職業について教えてほしいんですけど。」
「ハンターか?ハンターは人に害を及ぼす魔物や、罪を犯した人間を狩る職業だ。実はあたしも昔ハンターでな、昔の癖でキミのことが気になって仕方がなかったんだ。」
「そうだったんですね。」
『ルルア様、次はハンターのククーリという女について聞いてください。』
「あのアランさん、その……ハンターっていう職業をやってる人で、ククーリさんって女の人知りませんか?」
そう問いかけると、少しボクから視線をそらし、一拍の間をおいてからアランさんは答えてくれた。
「……知らないな。」
『ルルア様、この女は嘘をついていますが……今はこのまま話を続けましょう。孤児院から抜け出したルルア様に、剣の技術を教えてくれたのがそのククーリで、そのおかげで魔物を倒してお金を稼げるようになったと話してみてください。』
テンタが言った通りにボクはアランさんに話を続ける。
「そうですか……実は孤児院を抜け出したボクに、ククーリさんが剣を教えてくれたんです。」
「ククーリが剣を……キミに?」
「はい、だからボクは魔物を倒してお金を……。」
話している途中で、アランさんの目がギロリと凶暴で鋭いものに変わると同時に、ボクの体が勝手に動いて、テーブルの上にあったフォークをパッと手に取ると、ボクに向かってきていた銀色に鈍く輝く刃を受け止めていた。
「ほぅ……あのバカ弟子に剣を教わったのは本当らしいな。」
いつの間にか腰に差してあった剣を抜いて、ボクに向かって振り下ろしていたアランさんは、ニヤリと笑う。
「や、やっぱり知ってるんですね。」
なぜか表情も無表情のまま動かせず、ボクは嘘をついていたアランさんをじっと見つめながら問い詰めた。
「まぁ、嘘をついていたのはお互い様だろう?キミだって真実はあまり語っていないのはわかっているぞ?だが今はそんなことはどうでもいい。あたしは増々キミに興味が湧いっ……だぁぁぁっ!?」
興奮して再び剣を振るおうとしていたアランさんの頭に、今度は拳骨ではなくフライパンがすさまじい勢いで振り下ろされ、金属同士がぶつかったような鈍くて大きな音が響き渡った。
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