第13話
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「先ほどの品のない大声……昨日私達を追ってきたあの女ですね。」
「し、白い髪……ってボクのことだよね?」
「おそらくはそうでしょう。幸いにも窓はありますし、いつでも逃走は可能ですので、少し様子を伺ってみましょうか。」
テンタの助言通りに、ボクは1階から聞こえてくる声に耳を傾けることにした。
「アラン、いきなり押しかけてくるなりなんなのさ?白い髪の少年?その子がなんかしたの?」
「い、いや……実は昨日、彼からとてつもない違和感を感じて、ずっと行方を追っていたんだ。」
「はぁ〜、とてつもない違和感ねぇ。ま、確かにあの年齢の子供にしては、ずいぶん羽振りは良いみたいだったケド。そのハンターだった頃の職業病で、ちょっと怪しい奴ストーカーするのはいい加減やめなよ?ついこの前だって、何の罪もないような一般人追いかけて、危うく衛兵に捕まるところだっただろ?」
「う、そ、それを言われると弱いな。でも、さっきの発言を聞いてる限り、少年のことを知っているようだが……ど、どうなんだ?」
「そりゃあ、私のおんぼろ宿に泊まってくれてるから知ってるよ。」
「じゃ、じゃあその子のところに……。」
「ダメだ。あの子はうちのお客さんだよ。女将として、お客さんを売るような真似はできない。」
「うぅ、そうか。少し話をしてみたいだけなんだが……。」
その一連のやり取りを聞いていたボクとテンタ。向こうの話が終わり、声が聞こえてこなくなったところで、テンタが口を開いた。
「ルルア様、一つ提案があるのですが……よろしいですか?」
「提案?」
「はい。少々今しがた聞こえてきた会話の中に、一つ気になる言葉がありましたので、それをあの女に直接聞きに行きたいのです。」
「だ、大丈夫かな。」
「どうやらこの宿を管理しているノーラという人間の前では、あの女は大胆な行動はとれないと推測されますので問題ないかと。」
「確かに、ノーラさんに怒られたら声がちょっとか細くなってたかも。」
「きっとルルア様の今後に役立つ情報が得られると思いますので、どうかお願いできないでしょうか?」
「……わかった。ちょっと怖いけど行ってみる。でも何を質問したらいいのかわからないから、それはテンタが教えてね?」
「お任せください!!」
ボクはちょっと緊張しながら、ドアノブに手をかけてゆっくりと押し開き、2階から1階に降りていった。すると、受付のところでノーラさんが昨日ボク達のことを追ってきた服屋の店員さんに向かって、説教をしていた最中だった。
「あ、あの……おはようございます。」
「ありゃ、朝から騒がしくてごめんねぇ坊ちゃん。」
「大丈夫です。ちょうど起きた後だったので……。」
「や、やっぱりここにいたな少年っ!!」
ものすごい勢いで、こちらに迫ってこようとしたその女の人の頭に、ノーラさんの拳骨が落ちた。
「幼い少年になんて形相で迫ろうとしてんの!!」
「あいだぁっ!?!?」
「まったく、ここには他に人がいないからいいけど、私ら以外から見たら犯罪者だよ。」
「す、すまない。」
「謝るんなら、私じゃなくてこっちの坊ちゃんに謝んな。」
そう言われて、その女の人は怒られてシュンとしながら、ボクに向かってぺこりと頭を下げてきた。
「す、すまない少年。実は昨日から少し……いや、物凄くキミのことが気になっていたんだ。よ、良ければ少しだけでいいから話を聞かせてはもらえないだろうか?」
「それで満足するなら……いいですよ。」
「あ、ありがとう少年!!」
「ん、さぁてと、じゃあ私は張り切って朝食を作ろうか。坊ちゃん、朝ご飯は何が良い?」
「あたしはオムライスが食べたいぞ。」
「アランにゃ聞いてないよ。」
またしてもゴチッと生々しい音を響かせながら、ノーラさんの拳骨が振り下ろされ、あの女の人が頭から煙をあげながら床に突っ伏した。
「さて、改めて……何が良い?」
「その、お、オムライスでいいですよ。ボクあんまり料理とかわからないので……。」
「ん~、そっかそっか。じゃあとびっきり美味いの作るから、そこに座って待っててちょ~だいな。」
ボクの頭をわしゃわしゃと撫でてから、ノーラさんはキッチンの方に歩いて行った。それから少しすると、今まで嗅いだことがないぐらいいい匂いがキッチンの奥からこっちに流れてきて、さっき赤い果物を食べたのにも関わらず、思わずお腹が鳴ってしまった。
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