第10話
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まともな服装で町を歩くと、変な目でじろじろ見られることは無くなった。変に注目を浴びなくなって、ホッと安心して一つ息を吐くと、テンタが頭の中に話しかけてくる。
『服を確保できてよかったですねルルア様。』
『そうだね。次はどうしよっか。』
『一先ず、仮の拠点となる宿を確保しましょう。』
『わかった。』
テンタの助言通り、宿を探してまた町を歩いていると、テンタが何かに気づいた。
『……ルルア様、先程の服屋の店員が後をつけてきています。』
『えっ?ど、どうして?』
『先ほどの様子から察するに、恐らくは私たちを怪しんでいるのでしょう。』
『ど、どうすればいいかな。』
『そこの脇道に入って、その後は魔法で撒きましょう。』
近くの脇道に入って、テンタは体が透明になる魔法をすぐに使った。すると間もなくして、あの女の人もボクたちを追って脇道に入ってくる。
「なっ……ど、どこ行った!?確かにこの脇道に入ったはず。」
ボクたちを追ってきた女の人は、きょろきょろと辺りを見渡して必死にボクたちの姿を探している。その横をスッと通って、ボクたちはまた大通りに戻った。
『まったく、ストーカー行為はやめてもらいたいですね!!』
『そ、そうだね。この透明のまま宿を探す?』
『そうしましょう。通行人はルルア様の姿を確認することができないので、衝突にはお気を付けください。』
『うん、わかった。』
人の間をすり抜けながら宿屋を探していると、テンタがそれらしき建物を見つけたみたい。
『ルルア様、前方にそれらしき看板が。』
『あ、本当だ。』
ボクたちが見上げている建物の入り口の前には、大きなベッドが書いてある看板がぶら下がっている。近くの路地に入って、透明化を解除してから再びその宿屋らしきお店の前に戻った。
「えっと、宿屋バトン……一泊銀貨50枚。」
『問題なく泊まれますねルルア様。』
『うん、一先ずここにしようかな。』
宿屋だという事が確認できたので中に入ると、すぐに受付があってそこに大きな三角帽子をかぶった女の人が立っていた。
「おん?子供……?坊ちゃん、ここは遊べるような場所じゃないぞ?」
「あ、違うんです。お部屋を借りたくて。」
「部屋を借りたい?なんでまた……家出でもした?」
「ボク、親がいないので、泊まれるところを探していたんです。」
そう伝えると、受付に立っていた女の人は口をあんぐりと開けて、固まってしまっていた。
「わ、訳ありだったってわけねぇ……。そういう事なら深くは聞かないよ。本来なら一泊銀貨50枚なんだけど、子供だし銀貨30枚にしとくよ。」
「あ、ありがとうございます。それじゃあ……えっと。」
『て、テンタ?どのぐらい借りればいい?』
『お金はまだまだありますから、とりあえず1週間ほど借りればよいのではないでしょうか。』
テンタと頭の中で相談した後で、女の人に1週間泊まりたいと伝える。
「1週間お部屋を借りたいんですけど。」
「1週間!?そんなにお金あるの?」
「金貨2枚と銀貨10枚ですよね?」
「そうだけど……。」
「じゃあこれでお願いします。」
「えぇ!?普通そんなポンって出てくるぅ!?……まぁこっちも商売だから、お金さえ払ってくれれば何も言わないけどさぁ……。」
お金をしまってから、ボクにお部屋の鍵を手渡してくれた。
「坊ちゃんの部屋は2階に上がって右手の角部屋ね。何か欲しいものとかあったら、この宿屋の女将の私……ノーラに言ってね。」
「ありがとうございますノーラさん。」
ノーラさんにお礼を告げてから、ボクは借りた部屋がある2階へと上がった。
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