フードコート
AEONのフードコートでタカシとユキはお昼ご飯を食べている。タカシはてりやきバーガーのポテトセットを、ユキはエビフィレオバーガーを頼んだ。
「紙とペンある?」とユキはタカシに尋ねた。
「あるよ。」
「ちょっと貸して。」
「いいよ。」と言ってタカシはいつも持参しているメモ帳とペンをリュックから出した。ユキはスラスラとペンを走らせた。そして2、3分でてりやきバーガーの絵を見事に描き上げた。
「すごい!こんなに上手なてりやきバーガーの絵は初めてみたよ!」とタカシは驚いて言った。ユキは得意気な表情を見せた。
「他にも何か描いてほしいものある?」とユキは言った。
「じゃあ、エビ描いて!」とタカシは言った。ユキはものの数十秒で見事なエビの絵を描いた。その後、ユキはタカシの要望に沿って、ウニや車などの絵を描いた。
「この絵はホントに上手な人の絵だよ。昔のアメリカ人画家みたい。」とタカシは言った。
「なにそれ。」とユキは笑って言った。
「タカシにもなにか描いてほしい。」とユキは言った。
「僕は絵はダメなんだよ。」と言ってタカシは頭を掻いた。
「まあスケッチくらいならできるかも。ユキちゃんのこと描いてみるよ。」とタカシは言った。
「やった、嬉しい!」とユキは言った。
「あんまり動かないでよ。」とタカシはユキを見ながら言った。
「なんかちょっと恥ずかしいね。」とユキははにかみながら言った。
7分ほど経って「よし、描けたよ。」とタカシは得意気な顔をして言った。「見せてー」とユキは楽しげに言った。タカシはユキに絵を見せた。そのユキの絵は、丁寧に描かれてはいるものの、顔のパーツや輪郭がどこかいびつで、どことなく惜しいという印象を感じさせる絵だった。
「えー、なんか変じゃんわたし。」
「頑張って描いたのに!まあちょっと失敗したのは認めるけど。。」とタカシは言った。
「あ、ユキちゃんの絵はね。日本人で言うと、鳥山明の絵に近いよ。」とタカシは言った。
「誰それ?」
「ドラゴンボール描いた人。」
「あー!ドラゴンボールね。」
「ドラゴンボール見たことある?」
「見たことはないんだけど、歌なら知ってるよ。ロマンティックあげるよって歌はドラゴンボールの歌だよね?」
「そう!へー知ってるんだ!」とタカシは言った。
「私この歌は昔から好きだったんだよねー。」と言って、ユキは口ずさんだ。
「ユキちゃんやっぱり歌はあんまり上手くないね。」とタカシは言った。
「・・・あのさ。前にもドライブしてるときに、わたしのこと音痴だって言ったよね。」とユキは言った。
「え、ごめん。失礼なこと言っちゃったかな。」とタカシは言った。
「前は我慢したけど、さすがにムカつくんだけど。」とユキは言った。
「怒らせるつもりはなかったんだよ。ごめん。」
「怒らせるつもりじゃなかったら普通そんなこと言わないよね?」
「ごめんよ。」とタカシは言った。
「前の彼氏はそんなこと言ってこなかったよ?」
「いや、前の彼氏のことは別に今関係ないじゃん。」
「そんなこと言うから今までずっと彼女もいなくて童貞だったんでしょ?」
「いや、それは言わないでくれよ。童貞って。それはやめてくれよ。」
「わたしがあなたのこと拾ってあげたんだからもうちょっと私に感謝したら?」
「なんだよそれ!めっちゃムカつくわ!」
「ムカつくのはこっちよ。もう少しデリカシーのある人だと思ってた。なんなの?童貞のくせに。」
「もう我慢できない!もう俺帰る!」と言ってタカシは逃げるようにして席を立った。